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米朝首脳再会談へ

2018年9月27日
◆完全非核化へ具体的合意を◆

 トランプ米大統領と文在寅(ムンジェイン)・韓国大統領による会談で、米朝首脳の再会談が近く行われる方向となった。トランプ氏と金(キム)正恩(ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の次回会談では、第1回の6月のようなテレビショーではなく、完全非核化の目標が確実に実現するよう具体的な合意を結ぶ必要がある。

まず信頼関係の醸成

 北朝鮮の非核化の遅々とした動きには失望させられる。核実験中止や実験場の廃棄方針を発表したが、これまでのところ、実験場の坑道爆破やミサイル発射場の一部施設の解体など、実際に取った行動は限られている。この不満足な結果は初の首脳会談が準備不足のために、非核化の行程表など具体策を詰めなかったからだ。

 それでも北朝鮮が核実験やミサイル実験を繰り返し、米国が軍事力を中心とした「最大限の圧力」をかけて緊迫した昨年の状況からすれば、大きく転換した。非核化の行動を本格化させるには米朝間の信頼関係の醸成が欠かせない。

 まず、北朝鮮は保有している核弾頭や関連施設の包括的なリストを申告し、その廃棄の行程表や検証体制で合意する必要がある。これまで北朝鮮は国際公約に背を向けてきた歴史がある。国際社会は完全非核化で譲歩せずに厳格な姿勢で臨むべきだ。

 一方、北朝鮮の懸念にも配慮すべきだろう。米国は、北朝鮮が核リスト提出や行程表合意などの条件としている朝鮮戦争の終結宣言にも柔軟に対応すべきだ。トランプ氏は前回の首脳会談の際、終結宣言について肯定的だった。

 朝鮮戦争の終結宣言は、在韓米軍の意義、在日米軍の役割、アジア太平洋地域における米軍配置の見直しにつながり、その影響は広範囲にわたる。中国の軍事的な拡張という現実を前に見直しは容易ではない、という事情は分かる。日本でもその思いは特に強い。

包囲網足並み乱れも

 しかし、北朝鮮に完全な核廃棄を行わせ、日本人拉致など、残る問題を解決するためには、一方的な行動を求めるだけでは無理だろう。朝鮮半島を中心に東アジアが大きく動くのであれば、地域の安全保障体制が今のままで良いという惰性の結論には至らないはずだ。

 今月行われた南北首脳会談ではいかなる場合でも武力を使用せず、軍事境界線近くでの演習・飛行を禁止するとの合意文書を採択しており、韓国大統領府は「実質的な終戦宣言」と評価している。この合意の下では、今後の大規模な米韓合同軍事演習などは実行不可能になるだろう。南北間では鉄道の連結計画など経済面の動きも表面化し、中国やロシアは対北朝鮮制裁の緩和を求める動きを始めた。北朝鮮包囲網の足並みが乱れ始めている。これでは非核化という本来の目標が達成できない。

 米朝双方ともトランプ氏の1期目の任期が終わる「2021年1月」を非核化実現の目標としている。時間は限られている。

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