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日中首脳会談

2018年9月25日
◆朝鮮半島安定に力合わせよ◆

 安倍晋三首相は中国の習近平国家主席とロシアで会談し、日中平和友好条約の発効40周年に合わせた首相の10月訪中実現への調整や、首脳の相互往来加速で一致した。首相は習氏の来日を要請し、習氏は「留意する」と応じた。両首脳は日中両国が友好、協力関係を強化し、北朝鮮の非核化に向けて緊密に連携することも確認した。5月には中国の李克強首相が来日しており、首脳の相互訪問を通じ、6年前の尖閣諸島国有化で著しく悪化した日中関係が改善の流れに乗ったことを歓迎したい。

一帯一路新たな動き

 両首脳は、ロシアが極東ウラジオストクで開いた東方経済フォーラムへの出席の機会を利用して会談。中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を巡る第三国での協力を推進する方針も確認した。昨年、安倍首相は一帯一路について「開放、公正、経済性」などを条件として支持を表明し、関係改善のきっかけをつくった。

 半島情勢の緊張緩和や日中関係改善を受け、日本や韓国、北朝鮮を組み入れる新たな構想も。日本絡みでは、有力メーカーなどを誘致して産業圏を形成し運輸からも連携強化を図る考え。だが、対北朝鮮制裁が続く中、中朝間の本格的経済協力は困難で実現は不透明だ。

 ビジネスは基本的に相互に利益がなければ成立しない。日中は経済協力をてこにして関係の修復、強化を進めていきながらも、一帯一路を通じた中国の対外進出には注意も必要だ。中国の対外進出や非民主的な政治体制への国際社会の懸念は根強い。世界第2の経済大国中国が影響力を強める中、隣り合う日中が共生を図るには、今後も安全保障や政治面の対話を通じた信頼醸成が不可欠だ。

対外進出で不信感も

 習氏は6月、中央外事工作会議で「人類運命共同体の旗印を高く掲げ、グローバルな統治体系をより公正で合理的な方向へ発展させる」と言明し、米国中心の世界統治の変革を目指す外交の基本方針を示した。

 既に米中両国は貿易摩擦、台湾、中国の南シナ海進出などの問題で対立を深めている。ロシア軍が今月始めた冷戦後最大規模の軍事演習には中国軍が初めて参加し、米国をけん制した。日米は中国の覇権主義を警戒し、中国は日米の対中封じ込めを疑うという相互不信は根強い。日中首脳は会談で、東シナ海を「平和、協力、友好の海」にする努力を確認した。日本は中国が覇権を求めず「平和的な台頭」を貫くよう働き掛けたい。

 北朝鮮問題で、両首脳は非核化を共通目標と位置付け、実現への連携を申し合わせた。安倍首相によると、拉致問題解決を目指す日本の立場について習氏の完全な支持を得たという。北朝鮮問題の解決には、米朝中韓に日ロを加えた6カ国の強調が必要だ。日中両国は2国間関係の改善を受け、より連絡を密にして朝鮮半島の平和と安定のために協力していきたい。

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