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異常気象への備え

2018年9月11日
◆「猛暑は災害」の認識必要だ◆

 気象庁が6~8月の天候まとめを発表し、「東日本(関東甲信、北陸、東海)は1946(昭和21)年の観測史上、最も暑い夏」だったと認定した。西日本(近畿、中四国、九州)も史上2位の暑さを示し、熱中症による症状の救急搬送や死亡者が続出。県内では5月以降、871人が搬送された。豪雨や台風による堤防決壊、住宅浸水など甚大な被害も続いた。地球温暖化による「異常気象の連鎖」と言える。気象変動に合わせた対策の検討を急ぎたい。

豪雨や干ばつと連鎖

 7月以降、日本列島は太平洋高気圧に加え、大陸方面からチベット高気圧が張り出した。強い日射が海水面を熱し、大量の水蒸気が発生。西日本豪雨を引き起こし、台風を相次いで発生、発達させるエネルギーにもなった。

 異常気象は世界でも見られ、熱波によって米西部、南欧、北極圏で山火事が多発し、森林を消失した。大雨や干ばつといった極端な気象ももたらし、環境や生態、人体の健康、観光など社会的にも大きな影響を与えた。もはや猛暑は災害である、との認識が必要だ。

 気象庁が「異常気象」と呼ぶ定義は「30年に1度よりも発生確率が低いこと」。しかし、世界の平均気温は上昇傾向にあり、いずれ「異常」が「普通」になることは十分考えられる。世界気象機関(WMO)は「海面レベルや世界の気象パターンに深刻で長期的な影響を与えるだろう」と警告する。

 備えるべきは、南海トラフ巨大地震などの大規模地震だけではない。私たちは猛暑と豪雨が連動し、被害が激甚化する時代に生きていることを肝に銘じ、身を守ることを考えたい。

マップの周知が必要

 西日本豪雨で損害を受けた岡山、広島、愛媛3県の17市町で、避難指示対象者のうち実際に避難所などに身を寄せた人の割合は約4・6%にとどまった。危険度が住民に伝わらず、避難情報が実際の避難行動に結び付かなかったのは残念だ。国や自治体はその要因を分析し、対応すべきだ。

 県内ではハザードマップの再検討が迫られるだろう。豪雨による洪水時に想定される浸水域や深さを示したハザードマップの作成状況について県内市町村に尋ねたところ、作成済みは21市町村、未作成は5町村だった。一部は配布から10年以上経過していることも判明。災害級の猛暑や豪雨を考慮し、精査することも新たな課題になるだろう。

 また、西日本豪雨では、ため池の決壊や越水被害が相次いだ。決壊すると大きな被害が出る恐れのある「防災重点ため池」は県内に134カ所。多くはハザードマップで公表されているが、住民への周知が進んでおらず改善が必要だ。

 猛暑や水害に関するこれまでの常識、経験値が通用しにくくなった。あらゆる「想定外」を想定し、防災につなげたい。

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