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琴恵光関新入幕

2018年6月26日
◆「三役以上」目指せる逸材だ◆

 県民待望の快挙だ。日本相撲協会が大相撲名古屋場所(7月8日初日)の新番付を発表し、延岡市出身の琴恵光関(本名・柏谷充隆、佐渡ケ嶽部屋)が東前頭14枚目での新入幕を果たした。初土俵から11年。本県出身力士としては高鍋町出身の金城関(春日野部屋、後の元関脇栃光)の1974(昭和49)年9月の秋場所以来、44年ぶりの新入幕力士誕生となる。心から拍手を送りたい。

「小兵」を技でカバー

 琴恵光関は5月の夏場所で、自己最高位に並ぶ東十両2枚目で11勝4敗と大きく勝ち越した。3場所連続で優勝争いに絡む活躍を見せ、名古屋場所での新入幕が有力視されていた。

 5月の夏場所を終えた琴恵光関は本紙インタビューに対し、期待される新入幕について「対戦相手もがらりと変わるし、簡単には自分の形にさせてもらえないだろう。どうすればそうできるか常に意識しながら、稽古を重ねていきたい。攻めることができれば(幕内でも)結果は付いてくると信じている」と応えている。

 身長177センチ、体重137キロとは言え、相撲界では決して大きい体とは言えない。小兵( こ ひょう)ながら多彩な技と気迫で大柄の力士に迫り、倒すのが相撲の醍醐味(だいごみ)の一つであり、相撲ファンが歓喜する一番だ。琴恵光関自身も、相撲の魅力を「体重無差別で戦うところ」と話している。

 十両に昇進し、2015年に宮崎日日新聞スポーツ賞・特別賞を受賞した際には、「先手を取り、スピードや切れ味でカバーすれば体の大きい人にも対抗できる」と自信を見せた=写真。元十両だった祖父の松恵山関譲りの身体能力と、小さい体を利した鋭い動きと堂々たる攻めで、今後も名勝負を繰り広げてほしい。

迷い乗り越えて精進

 幼少期に相撲を始めた琴恵光関は小学6年のとき、わんぱく相撲全国大会ベスト8に入賞。中学時代には相撲の全国大会にたびたび出場する一方、柔道個人の中量級で県内トップクラスに名を連ねるなど、早くから頭角を現していた。後の師匠となる佐渡ケ嶽親方が足腰の強さに注目。親方の粘り腰の誘いを受け、15歳で佐渡ケ嶽部屋に入門した。

 初土俵を踏んだ07年3月以降の戦績は、特集紙面に詳しい。

 ちょうど角界入りした07年ごろ、相撲界では現役力士らの不祥事が続発していた。17歳力士の死亡事件、暴行問題、違法薬物、野球賭博、八百長などが相次ぎ、07~11年は“魔の5年間”といわれるほど暗黒の時代だった。時を同じくして、琴恵光関は母親に迷いを電話で打ち明けたという。

 それでも稽古を積み、着実に勝ち星を重ねた。人間性の鍛錬と共にある相撲道に真摯(しんし)に向き合ってきた結果だろう。佐渡ケ嶽親方が「三役どころかそれ以上を狙える」と太鼓判を押す逸材だ。さらなる飛躍に期待が膨らむ。

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