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18歳成人

2018年6月22日
◆消費者被害拡大防ぐ対策を◆

 年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が成立した。2022年4月に施行される。明治時代の民法制定以来、140年余り続いた「大人」の定義が変わる。多くの人が高校3年で大人になり、親の同意なく契約を結べるようになる。ローンも組める。消費者被害の拡大が懸念され、若年層保護を目的に消費者契約法も改正されたが不十分との声が相次ぐ。被害の拡大防止と保護・救済で、一層の対策強化が求められるのは言うまでもない。

課題や不安置き去り

 少子高齢化が進む中で若者の自立と積極的な社会参加を促し、社会を活力あるものにする-と政府は成人年齢引き下げの意義を強調する。ただ今なお多くの課題が残されており、先行した国民投票法の投票年齢や選挙権年齢の引き下げに合わせるため審議を急いだ印象が拭えない。法制審議会で議論されている少年法の適用年齢引き下げも見据えてのことだろう。

 「18歳成人」を社会に迎え入れる4年後に向け、漏れのない環境整備を期したい。消費者被害の幅広い救済策を求める付帯決議も採択された。課題や不安を置き去りにすることなく、丁寧に議論を進める必要がある。

 改正民法が施行されると、今は未成年の18、19歳も親の同意なしに携帯電話やクレジットカードなどの契約を結べるようになり、10年有効のパスポート取得も18歳から可能になる。飲酒と喫煙、公営ギャンブルは20歳未満の禁止が維持されるが、社会生活の幅は広がる。そこにリスクもある。未成年者が親の同意なしに結んだ契約は原則取り消せるが、成人になるとそうはいかなくなり、悪徳業者のターゲットになりやすい。

少年法の適用焦点に

 このため、改正消費者契約法には「不安をあおる商法」や「恋愛感情を利用したデート商法」による契約は取り消せるとの規定が追加された。とはいえ、より一般的な「判断力不足に乗じた契約」の取り消しも認め、できるだけ救済の幅を広げるべきだとの声が専門家の間には根強くある。内閣府消費者委員会の専門調査会で提案されたが、業界団体などが自由な経済活動を妨げると反対し、法制化は見送られた。

 一方、文部科学省は消費者教育や教員研修の拡充に取り組むとする。高校生向けにクイズ形式で契約などの基礎知識を紹介する消費者庁作成の教材を使っている高校もある。ただ大学受験を考えると、消費者教育にどこまで重きを置くかは難しい判断になりそうだ。

 少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げるかどうか、法制審で進められている議論の行方が焦点になるだろう。政府は19年の法改正も視野に入れる。しかし罰を科すより、教育的な働き掛けによる立ち直りを重視する現行制度は一定の成果を上げている。成人年齢に合わせるといった安易な議論は避けるべきだ。

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