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みやざき未来奨学金

2018年6月16日
◆意義ある給付型維持したい◆

 社会的養護が必要な子どもたちを対象にした「みやざき子ども未来奨学金」は今春、2期目の給付を始めた。2017年度は児童養護施設出身者2人、18年度は里親家庭で育った1人に給付。数ある奨学金の中で、この奨学金は返還不要の給付型でありながら進路の選択肢が多様、進学後のアフターケアが充実している-などの面で他に類を見ない特長がある。しかし、寄付頼みのため財政基盤は脆弱(ぜいじゃく)なのが実情だ。

独自性光る支援体制

 奨学金は、「宮崎県の子どもの貧困に関する連携推進協議会」(県、宮崎大教育学部、宮崎日日新聞社、県児童福祉施設協議会、Swing-By)が創設した。

 17年度に県内の4年制大学に進学した児童養護施設出身者2人に各計192万円(毎月各4万円を4年間)の給付を始め、本年度は里親家庭で育ち、県内の専門学校に進学した女性に計80万円(入学準備金20万円、毎月5万円を1年間)を給付。さらに予約型として、大学進学を希望する延岡市の児童養護施設入所者2人への給付も決め、学習支援を行っている。

 社会的養護下の子どもに対しては児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業という国の制度があり、未来奨学金は貸付事業への申請が前提となる。県こども家庭課は「貸付事業は給付型に限りなく近い形になっており、それに上乗せして利用できるのは手厚い。他県でも聞いたことがない」と評価する。奨学金事業の9割を占める日本学生支援機構が17年度に給付型を導入したが、依然として貸与型が中心であることから、給付型の意義は大きいだろう。

財政基盤確立が課題

 給付型は全国に1700以上あり、返還を肩代わりする支援制度も拡充された。しかしそのほとんどに居住地や就職先を特定する要件が盛り込まれており、宮崎大大学院教育学研究科の湯田拓史准教授(教育行政学)は「出資者の思惑が反映され、若者の地域定着、企業の人手不足解消など、いわゆる人材の囲い込みの一環として位置付けられている」と指摘する。

 ライフプランを早期に確定することが必要になるが、その点、未来奨学金は人生の目標変更も想定内で選択肢が広い。また、アフターケアにも尽力。社会的養護下の子どもたちは中退率や離職率が高い傾向にあるため、同学部では教員や事務担当者が緩やかなチームをつくり、出身施設と連携をとるなど、複眼的に奨学生を見ながら就学継続を支援している。

 同協議会は財源に余裕がなく、来年度の奨学生についてはまだ白紙の状態で、今後法人や個人から寄付を募り、その結果によって可否を確定する。未来奨学金は、「支援される子ども」が将来的に「支援する大人」に成長することを目標に掲げる。地味だが、一層の啓発活動を行い趣旨への賛同者を増やすことが本県発奨学金制度の持続につながる。

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