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非正規格差で判決

2018年6月8日
◆早急な待遇改善を求めたい◆

 同じ仕事をしている正社員と賃金水準に差があるのは労働契約法が禁じる「不合理な格差」に当たる-と定年後に再雇用された非正規労働者のトラック運転手が是正を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は正社員であれば受け取れた一部手当の支払いを会社側に命じた。この訴訟は一審判決が同じ水準の賃金支払いを命じ、注目を集めた。

再雇用の低賃金追認

 しかし二審判決で原告逆転敗訴となった。最高裁も一部手当を除き、その判断を是認し、格差が不合理かどうかを判断するに当たっては、定年後の再雇用という事情も考慮されるとの初判断を示した。多くの企業が導入している継続雇用制度で再雇用後の賃金が定年前より低く抑えられている現状を追認した形だ。

 非正規労働者は企業にとって雇用調整や人件費抑制をしやすいこともあって増え続け、2017年の平均で働く人の4割近い2千万人余りに達している。しかし正社員と同じ仕事をしても賃金や手当を低く抑えられることが多く、待遇格差が問題になってきた。格差是正は喫緊の課題である。ガイドラインづくりなどを通じ、早急に待遇改善の前進が求められる。

 不安定な働き方を減らすために13年4月に施行された改正労働契約法は、正社員と非正規との間で待遇に不合理な格差があってはならないと規定。不合理かどうかは、仕事の内容や責任の程度といった「職務の内容」のほか、転勤や昇進など「配置の変更範囲」や「その他の事情」を考慮して判断するとしている。

働き方改革に影響か

 横浜市の長沢運輸で定年後に再雇用されたトラック運転手3人が正社員と同じ水準の賃金を支払うよう求めた訴訟で一審東京地裁は、正社員との間で職務内容と配置の変更範囲に全く違いがないのに賃金に差があるのは不合理で、労働契約法に違反するとして原告勝訴の判決を言い渡した。二審東京高裁判決は「定年後の賃下げは社会的に容認されている」とし、不合理な格差ではないと判断。労働契約法にある「その他の事情」を重視した判断で、最高裁も同じ立場を取った。

 一方、浜松市にある物流会社の契約社員が起こした訴訟は手当の格差が争点となり、一審大津地裁彦根支部判決は通勤手当のみ不合理とした。二審大阪高裁判決はさらに無事故、給食、作業の3手当も不合理とし、最高裁はこれに皆勤手当も加えた。政府が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案で目玉政策の一つである「同一労働同一賃金」の実現に向け、国のガイドラインづくりに影響を与えるとみられる。

 非正規の待遇は時給で見た場合、欧州はフルタイムで働く人の7、8割に対し、日本は6割にとどまる。待遇差について、各企業が非正規に丁寧に説明する仕組みを整えることも必要だろう。

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