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子どもシェルター

2018年6月6日
◆行き場ない10代支える場に◆

 貧困や虐待、非行などが理由で家族の元で生活できない若者を受け入れる「子どもシェルター」の開設に向け、県内で動きが活発化している。弁護士有志が5月、NPO法人子どもシェルターみやざきの設立総会を開催。来春の開設を目指す。特に児童福祉制度のはざまにある10代後半の子どもの居場所づくりは長年の悲願だった。ようやく第一歩を踏み出す。

食事と休息の場提供

 宮崎家裁の2017年の少年事件(道交法違反を除く)は724件。減少傾向にあるが、付添人弁護士によると虐待や貧困、家庭不和など問題が重複するケースが多い。付添人弁護士は少年に寄り添い、立ち直りを助けるため環境調整などを行うが、審判の前段階で親が引き取りできなかったり、性虐待で家庭に戻れなかったりして少年院に送致される事案もある。

 宮崎市の金丸祥子弁護士は「家庭での受け入れさえできれば保護観察が見込め、社会内で処遇できるにもかかわらず、涙をのんできたケースが複数ある」。悔しさを原動力に勉強を重ね、仲間に開設を呼び掛けてきた。

 子どもシェルターは非行少年だけでなく、虐待などで帰住先のない子どもも受け入れる。一般家庭に近い小規模の住環境を準備し、安心して食事や睡眠、休息をとることができる。家庭から見捨てられ、人間不信に陥り、将来に展望を見いだせない子どもにとって、24時間常駐し親身に寄り添うスタッフの存在は貴重だろう。

 18歳以上20歳未満の子どもは児童福祉法上の措置から外れる一方で、民法上の親権下にあり、仮に親権に絡む事案が起きた場合には弁護士が法的に支援する。

制度のはざまも救済

 04年、東京に日本初の「カリヨン子どもの家」が開設され、子どもシェルターが現実化した。児童福祉法や更生保護法、生活保護法などに基づく制度のはざまで救済されず放置されたままの子どもも生まれており、弁護士がニーズに柔軟に対応しながら全国で展開、現在は18法人になった。11年には児童福祉法上の自立援助ホームの一形態に位置づけられ、行き場のない子どもたちを支える場所と仕組みが少しずつ整えられてきた。

 県内では、県弁護士会に子どもの権利委員会が発足した08年から子どもシェルターの開設を模索。これまで宮崎家庭・少年友の会や家裁調査官、県社会福祉士会との連携を図り、開設を見越した基盤づくりが行われてきた。県弁護士会が本年度始めた「子ども担当弁護士制度」とも連動する。

 罪を犯した少年の背景には過酷な生育歴や環境が見えることが多い。安心して養育されたり、学びや遊びや休息をとったりという、子どもの権利が剥奪されてきた悲しい結果でもある。人材確保や資金調達の課題もあるが、子どもシェルターの永続的運営には子どもたちの更生と成長を支える地域の温かな目が欠かせない。

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