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党首討論

2018年6月2日
◆なぜ真正面から答えないか◆

 今国会初めての党首討論が開催され、学校法人「森友学園」「加計学園」の問題や日米、日ロ関係などを巡り、安倍晋三首相(自民党総裁)と立憲民主党の枝野幸男代表ら野党4党首の論戦が行われた。計45分という短い時間での討論では、消化不良に終わった印象が強い。首相は野党側の追及に真正面から答えず、質問と関係のない発言でも時間を費やした。

議論すり替えに終始

 首相は「誠実な説明を尽くす」「うみを出す」と繰り返してきた。なぜ真正面から答えないのか。野党側も繰り返し質問している個別の事案ではなく、政府、与党の疑惑解明への消極姿勢がいかに政治への信頼を損なっているかを大所高所から追及すべきだった。

 首相のはぐらかし答弁は、たとえば森友問題だ。枝野氏は首相の昭恵夫人が関与した疑惑を指摘し、夫人の国会招致を要求。共産党の志位和夫委員長は、財務省が行った決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄が「安倍首相を守るために行われた」として首相の辞職を要求。これに対して首相は「問題の本質は国有地がなぜあの値段で学園側に引き渡されたのかだ」と応え、議論のすり替えに終始した。

 加計学園問題では、学園側が、首相と加計孝太郎理事長の面会を愛媛県に虚偽報告したとのコメントを出したことについて、枝野氏が「首相は利用された側になる。学園に説明を求めるべきではないか」と指摘し、首相は「政府としてコメントする立場にない。訴訟になれば時間がかかる」「大事なことはプロセスが公正公平だったかだ」と答えた。「腹心の友」を擁護するかのような発言に、国民の理解は得られるのだろうか。

 国民民主党の玉木雄一郎共同代表は政権不祥事には一切触れず、日米通商問題や日ロ関係に費やすと、首相は「大変重大な質問だ」と持ち上げた。

回数減少し形骸化も

 党首討論は国会審議の活性化策として2000年に導入された。原則は毎週1回の開催だが、首相が本会議などに出席した週は開かないなどの例外があるため原則は崩れ、今回は16年12月以来、約1年半ぶりの開催となった。創設当初の00年は年8回開催されたが、年々減少傾向にある。17年は党首討論が開かれず、創設以来初めての「年間ゼロ」だった。

 野党側にも、長い時間を確保して首相を追及できる予算委員会の集中審議を優先する考えがあるため、党首討論の意義が薄れているのは間違いない。制度の形骸化も指摘されるようになった。

 ただ平日の長時間にわたる予算委審議をテレビ中継などで見られる人は多くはない。たとえば党首討論を夜8時から開催すれば、与野党の議論がもっと国民に伝わるはずだ。もちろん大所高所からの質問に、真摯(しんし)に答弁する首相の姿勢が前提となるのは言わずもがなだ。党首討論の意義を見いだす再検討が必要だろう。

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