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森友交渉記録

2018年5月31日
◆政府の逃げ切り許されない◆

 学校法人・森友学園への国有地売却問題で財務省は、学園側とのやりとりを詳細に記載した近畿財務局のメールなど大量の交渉記録を国会に提出した。28日の衆院予算委員会では政府側答弁で、近畿財務局から地中にごみがあるとみなす範囲の拡大を提案し、わずか2日後に国土交通省大阪航空局がごみ撤去費を当初の積算額から約1億5千万円引き上げ、約8億2千万円として報告していたことも明らかになった。決裁文書の改ざん、交渉記録の廃棄など問題が相次いで浮上し、底なし沼だ。

論点拡散させる魂胆

 交渉記録は、8億円余りの値引きが明らかになった昨年2月以来、佐川宣寿前国税庁長官が「廃棄した」と言い続けた記録である。さらに同省は答弁との整合性を図るため、文書廃棄を進めていた。記録の存在を知りながら、省全体で隠し通そうとした疑いを拭えない。疑惑を突きつけられたら「記憶にない」などとしらを切る。批判が高まると資料を小出しにし「調査中」と時間を稼ぐ。こんなことが繰り返されてきた。

 疑惑解明は大きなヤマ場を迎える。政府、与党は国会会期末をにらみ、逃げ切りを図ろうとしていた。決して許されないことだ。会期延長についても、不祥事を追及する野党の舞台になりかねないため、官邸サイドは否定的だった。しかし、働き方改革関連法案など重要法案の成立を目指し、会期延長はやむを得ないと判断。与野党の攻防は激しさを増すだろう。

 先に加計学園の獣医学部新設に関し、愛媛県が新たな内部文書を提出している。そのさなか交渉記録と改ざん前文書、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題の調査結果も一度に出された。論点を拡散させ、追及を鈍らせようという政府の魂胆が透けて見える。

佐川氏の再招致必要

 しかし解明を失速させてはならない。交渉記録は2013年から16年にかけて作成され、全体で900ページ以上。その中には、首相の昭恵夫人付政府職員が森友学園の籠池泰典前理事長から土地買い取り価格の値引きなどを陳情され15年11月、財務省に問い合わせをし「夫人の知り合いから優遇を受けられないかと照会があった」と告げた経緯の詳細も記されている。

 学園が開校を目指した小学校の名誉校長に一時就任した夫人との関係を前理事長は盛んに持ち出し、財務省側との交渉を有利に運んだとされる。その過程で財務省側に忖度(そんたく)が働き、値引きにつながったとの疑惑は解消されていない。明らかになった記録を基に交渉経緯の細部を詰める必要がある。

 佐川氏は改ざんに絡む虚偽公文書作成容疑などで告発されているが、大阪地検特捜部は既に不起訴の方針を固め、近く捜査を終結するとみられる。佐川氏が証人喚問で何度も証言拒否の理由に挙げた「刑事訴追の恐れ」もなくなる。再度国会に呼び、一連の経緯について詳しい証言を求めるべきだ。

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