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沖縄復帰から46年

2018年5月29日
◆情勢変化に応じ基地再考を◆

 沖縄県は今月、1972(昭和47)年の本土復帰から46年を迎えた。衆院は当時、速やかに米軍基地の整理縮小を進めるべきだと決議している。しかし今も国土面積の約0・6%しかない沖縄に、在日米軍専用施設の約70%が集中する。その沖縄の米軍基地問題はこの夏、重大な岐路に直面する。宜野湾市の市街地にある普天間飛行場の移転先として名護市辺野古で進める基地建設工事で、政府は7月にも海を埋め立てる土砂の投入に踏み切る構えを示しているためだ。

移転で美しい海破壊

 天然記念物のジュゴンや貴重なサンゴなどが生息し、生物学者らが「わが国で最も貴重な海域の一つ」と指摘する美しい海は、土砂投入によって二度と元の姿に戻すことができなくなる。

 基地建設は日本を取り巻く安全保障環境を理由に進められてきた。だが事態は大きく動いている。北朝鮮は非核化の意思を表明、朝鮮半島の平和と安定に向けた関係各国の協議が続く。日本と中国も関係改善へと動きだしている。

 楽観視するのは禁物だが、今、政府と与野党が議論すべきなのは、大きく動き始めた北東アジアの情勢に対応する安全保障政策ではないか。その中で、在日米軍の在り方、沖縄の米軍基地の整理縮小も再検討すべきだ。その検討もせず、思考停止のように建設工事を進めるべきではない。貴重な自然を破壊してしまう前に再考するよう求めたい。

 復帰の日を前に沖縄で行われた3日間の「平和行進」には主催者発表で約5400人が参加。宜野湾市での県民大会で採択した宣言は、先の南北首脳会談での合意に触れた上で、「東アジアが平和と安定へと加速し、日米安保を抜本的に見直す時期が到来している」と指摘、「日米両政府によって強行される米軍基地の強化、拡大に反対する」と訴えた。

負担を押し付けるな

 日本政府は昨年4月、土砂を投入する海域を囲む護岸工事に着手。近く完成すれば土砂投入に踏み切る構えだ。これに対して沖縄県は工事差し止めを求めて提訴したが、那覇地裁は「県の訴えは裁判の対象とならない」として却下、県側が控訴している。

 46年前の本土復帰で、沖縄で初めて日本国憲法が適用されるようになった。しかし憲法が掲げる平和主義や基本的人権の尊重などの普遍的な理念は守られているだろうか。この1年だけでも、小学校の校庭に米軍ヘリコプターの部品が落下したり、ヘリが民家近くで炎上したりする事故が相次ぐ。

 翁長雄志知事は復帰の日に当たり、「いまだに沖縄県民は米軍基地から派生する事件・事故、騒音・環境問題などに苦しみ、悩まされ続けている」とのコメントを発表した。政治が取り組むべき責務は、沖縄に安全保障の負担を押し付けるのではなく、地域情勢の変化に対応した安保政策の議論を真正面から進めることだろう。

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