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加計問題で新文書

2018年5月26日
◆反証できないなら責任とれ◆

 学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡り、愛媛県が新たな内部文書を国会に提出した。2015年2月下旬に学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と面談し、国際水準の獣医学教育を目指すと説明した-と学園関係者がその年3月初め、県側との打ち合わせの場で報告したことなどが記されている。首相答弁と大きく食い違う内容だ。

国会は関係者招致を

 これまで首相は、自ら議長を務める国家戦略特区諮問会議で学園が特区の事業者に決まった「17年1月20日」に初めて学園の獣医学部新設計画を知ったと説明していた。柳瀬唯夫元首相秘書官は先の参考人質疑で15年4月2日と前後2回、官邸で学園関係者と面会したことを認めたが、特別扱いはしていないとした上で「首相に報告したことも、指示を受けたこともない」と強調した。

 しかし新たな文書からは、柳瀬氏をはじめ官邸側が早い段階から学園側とやりとりを重ねていた経緯が読み取れる。文書の内容が事実なら、「うそ」の答弁を繰り返していたことになる。今回の文書は、国会の要請に応じて提出された。国会には加計氏ら関係者の招致によって真相解明に取り組む責任がある。

 愛媛県の提出文書は27枚。それによると、加計氏は15年2月25日に首相と会い「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指す」と説明したとの報告が学園側からあり、このとき、首相は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と話したという。これを受けて柳瀬氏からは、改めて資料を提出するよう指示があったとの記述もある。

面談する前から動き

 首相は「ご指摘の日に加計氏と会っていない」と否定。「念のため官邸の記録を調べたが、確認できなかった」とした。調べたのは官邸の訪問記録という。ただ以前、柳瀬氏と県・市側との面会の有無をただされ、官邸側は「訪問者の記録は保存されていない」と答えている。加計氏と首相との面談の場は官邸とも限らない。

 面談前後の経緯にも注目すべきだ。面談前の2月、学園側に官房副長官が「今治市への獣医学部設置は厳しい状況にある」と説明したとの連絡があり、加計氏が首相と面談する動きもあるとしている。さらに面談後の3月、官邸で柳瀬氏が学園側に、獣医師会の反対を乗り越えるため内閣府と相談するよう助言したことも今治市から伝えられたとある。また4月2日の柳瀬氏の発言も「獣医学部新設の話は総理案件になっている。なんとか実現をと考えている」と以前公表された文書より詳しい記録も出てきた。

 政府はこれまで「記憶にない」「記録にない」と、国民の疑問や野党の追及をかわし続けてきた。しかし愛媛県文書を巡って誰もが納得する反証をできないなら、その責めを負うべきだ。

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