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自治体の未来

2018年5月24日
◆経営感覚でサービス維持を◆

 これから約20年後には、人口は毎年90万人ずつ減っていく。団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となり、三大都市圏を中心に高齢化はさらに深刻な事態を迎えることが予想されている。この中で行政サービスをどう維持すればよいのか。そのためには2040年ごろの日本社会が抱える課題を想定し、その解決に向け行政の在り方、社会の仕組みを抜本的に見直さなければならない。

地域の垣根を越えて

 国立社会保障・人口問題研究所によると、現在約108万人の本県人口は30年には100万人を切り、さらにその10年後の40年には90万人台まで落ち込むと推計されている。

 課題に挙げられるのがインフラや公共施設の大規模な更新のほか、鉄道やバスは主たる利用者である高校生らが減少し経営環境がさらに悪化。高齢化によって介護や入院のニーズが増加する。独り暮らしの高齢者が増加し、特に地域のつながりが薄い都市部では孤独死の危険性が高まる。自治体の財政面では、社会保障の経費が増大する一方、地域の所得が減少。地価も下落し、地域税収が減少する可能性が高い。

 最近発表された総務相の自治体戦略2040構想研究会の中間報告では、対応策として「自治体は、地域の戦略本部として、制度や組織、地域の垣根を越えて、資源(施設や人材)を賢く戦略的に活用する」とある。財政が悪化し職員数も減少する中、今の市町村の枠組みでは対応できなくなるということだ。市町村合併を進めることで解決できる問題ではない。もっと工夫しなければならない。

 市町村が土木行政、農林漁業や観光の振興から、介護や医療といった高齢者対策などの全責任を担い、フルセットで行う時代は終わった。今後進めるべきは、主体が誰であれ、その地域の住民にとって必要な行政サービスが確実に実施される仕組みをつくることだ。

国の規制緩和も必要

 例えば、道路や堤防は整備から維持管理の時代に入る。複数の自治体や県と連携し予算と人を出し合い組織をつくり管理すれば効率化できるだろう。高齢者の見守りや介護は地元団体に今以上の権限や予算を与え実施することも考えられる。行政の効率化のため、使わない建物や道路、橋、上下水道設備を選択しなければならない。

 総務省は今後、自治体間の協力関係を深める「定住自立圏」や「連携中枢都市圏」の制度見直しを検討するという。市町村連携の強化で乗り切ろうという発想だ。だが、不十分だ。サービスのレベルが維持できるのであれば、企業や市民団体をもっと活用すべきだ。

 自治体の自由度を高めこれらを可能にするため、国は規制緩和を進めなければならない。市町村は経営の意識を持ち、課題に向き合ってほしい。国や県の指導を待っていては地域サービスの維持は難しい。創意工夫が必要だ。

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