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暴言自衛官の処分

2018年5月22日
◆文民統制への認識甘過ぎる◆

 文民統制に対する安倍政権の認識が問われている。小西洋之参院議員に「国益を損なう」などと暴言を吐いた統合幕僚監部の30代の3等空佐に対する処分が甘過ぎる。防衛省は、3佐の行為に関して品位を保つ義務を定めた自衛隊法58条に反するが、私的な立場の言動で「文民統制を否定するものではない」として懲戒処分にはせず、より軽い内部規定に基づく訓戒処分とした。

極めて政治的な動機

 防衛省は処分を決めた最終報告の中で国会議員について「国民の代表として国会による内閣に対する監督(自衛隊に対する文民統制を含む)の機能を担う立場にある」としている。そう位置づける国会議員への暴言は品位の問題だけなのか。3佐は調査に対して小西氏が安全保障関連法に反対していたことを動機として述べている。

 文民統制に対する挑戦と言わざるを得ない。小野寺五典防衛相は衆院安全保障委員会で「処分は適正」と強調したが、こんな対応で実力組織を統制することができるのか。自らが任される文民統制への認識が甘過ぎる。

 防衛省は全く問題視していないが、3佐が暴言の動機に小西氏が安保関連法に反対したことを挙げているのは深刻だ。この考え方を敷衍(ふえん)すれば、この法に賛成した与党議員は支持するが、反対した野党議員は非難するということになる。極めて政治的な動機であり、自衛隊法61条に定める「政治的行為の制限」規定に反する。安保関連法やその前提である集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更は安倍晋三首相主導で推し進められた。

他省でも不祥事多発

 また安倍首相は、憲法9条への自衛隊明記を目指す理由に「自衛隊員の誇り」を挙げている。小西氏はこれにも強く反対している。3佐が国会議員を特定政策への賛否だけではなく、自分たちの味方と敵に分けて捉えている可能性がある。文民統制には国会は党派を問わず一致団結しなければならないが、3佐のこうした見方に厳しい姿勢をとらなければ統制を完遂することはできないだろう。

 事案の内容は全く異なるが、処分の甘さでは女性記者へのセクハラ発言を報道され、辞任した福田淳一前財務事務次官のケースも同様だ。自社の女性記者に対するセクハラがあったとのテレビ朝日の発表、抗議を受けて財務省はセクハラ認定し、6カ月の減給20%の懲戒処分に相当すると結論付けた。女性記者は1年以上前から複数回、被害にあったとしており、本来なら過去の事案調査が必要だが、財務省は調査を打ち切るという。

 財務省では学校法人「森友学園」への国有地売却問題に関する決裁文書改ざんも起きている。ここでも、麻生太郎財務相の官僚に対する統制がきいていない。信じられないような官僚による不祥事が多発している。文民統制だけでなく、政権の統治そのものが崩壊しつつある。

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