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全国知事会

2018年5月17日
◆再び政治力を発揮できるか◆

 全国知事会長が7年ぶりに交代し、上田清司埼玉県知事に決まった。上田氏は7年前の会長選にも立候補したが、山田啓二京都府知事に敗れ、副会長として支えてきた。満を持しての就任である。会長は地方を代表する立場で国と交渉する。人口減少、東京一極集中といった難題を抱えており、地方税収の格差是正など都市と地方で意見が割れるテーマもある。新会長にとって難題は、各知事が一致団結できる環境づくりだろう。

利害超えて結束必要

 都道府県同士の利害が時にぶつかる。東京対その他、首都圏対その他、東京・愛知・大阪対その他など、規模や地域性によって対立軸が異なる。地方財政の低迷と東京一極集中がその隔たりに拍車を掛ける。

 例えば、地方分散に向けた東京23区内の大学定員抑制や、都市部に偏重する地方消費税や法人税の配分基準の見直しなどには東京都が猛反発しているが、ほかは歓迎している。各分野で生じるこうした利害対立を超えて結束しなければ、国に足並みの乱れを見透かされて軽んじられかねない。

 市町村への目配りも求められる。知事会は、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会と合わせて総称される「地方6団体」の一つ。都道府県だけでなく全地方自治体のけん引役として責任は重い。

 試金石となるのは、夏に予定される経済財政運営の指針「骨太方針」への対応だ。財源不足を背景に、地方自治体が自由に使える一般財源を2016年度から3年間は15年度の水準を確保することが決まっている。本年度がその期限だ。しかし今の地方財政は、独自財源を十分に確保できる環境にはない。引き続き支援は必要で、国からの歳入が削られるのではないかと多くの自治体が気をもんでいる。

基金の扱いが焦点に

 自治体の貯金に当たる基金の扱いも焦点だ。基金残高の総額は16年度末で過去最大の21兆円超に上っている。昨年の経済財政諮問会議で俎上(そじょう)に載せられ、財務省は自治体の財源不足を補う地方交付税を削減できると主張する。

 本年度予算では地方側の反発で見送られたが、再燃は必至で、どう対抗するか注目される。こうした交渉事では政権との間合いが重要になる。政権奪取をうかがう旧民主党の衆院議員だった上田氏には、政治的な駆け引きの能力を存分に発揮してもらいたい。

 2000年代前半、岐阜県知事だった梶原拓会長時代には「闘う知事会」を旗印に国庫補助金の見直しなどを巡り、小泉政権と渡り合った。現在ではその面影は薄れ、おとなしくなった知事会が政権の関心を地方から遠ざけているようにも見える。若手知事を中心に連携して精力的にアピールしようという動きはある。そんな意欲を生かした組織力で、あるべき地方自治を国に迫りたい。

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