ホーム 社説

柳瀬氏参考人招致

2018年5月12日
◆加計ありきの疑念深まった◆

 学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官が参考人として国会に呼ばれ、2015年4月2日に首相官邸で加計学園幹部と面会したと認めた。愛媛県と今治市の職員らが同席したか記憶が定かではないとし、愛媛県文書にある「首相案件」との発言については「私の伝えたかった趣旨とは違っている」と否定した。

提案前に面会重ねる

 一方で、この面会も含め15年2、3月から6月上旬にかけ計3回にわたり官邸で学園関係者と会って、獣医学部新設計画について話を聞いたと証言した。県と市がその年の6月に国家戦略特区制度による獣医学部新設を国に正式提案する以前から、特区や事業者を選定する特区諮問会議の議長を務める首相の側近が、新設計画の当事者である学園側と面会を重ねていたという事実は重い。やはり、加計ありきか-と疑念は深まった。

 一連の面会は加計疑惑の原点といえる。真相解明の重要な鍵になり、柳瀬氏による国会証言を踏まえて野党は追及を強める構えだ。政府が幕引きを急ぎ、なおも解明に背を向け続けるなら、国民の視線はさらに厳しいものになろう。

 愛媛県文書によると、4月の面会で柳瀬氏は「本件は首相案件」とし、国家戦略特区制度を活用するよう助言。「死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件」と述べた。首相と加計学園理事長加計孝太郎氏が会食した際、新設計画の話が出たと学園側が柳瀬氏に伝えたことも記されている。

 国会で柳瀬氏は「首相案件」発言を否定したが、首相が「早急に検討していく」と述べている案件と説明したという。自治体の熱意が前提条件と伝えたともしており、愛媛県文書は話の趣旨は正確に押さえているとみていい。

焦点は首相の認識へ

 実際、07年から15回も構造改革特区で獣医学部新設を提案し、全て却下されてきた県と市は柳瀬氏の助言に従ったとみられ、面会後の15年6月、戦略特区に切り替えて提案。月末には獣医学部新設の方針検討を盛り込んだ「日本再興戦略」が閣議決定されるなど実現へのレールが敷かれた。

 また柳瀬氏は首相と加計氏の会食については「そんな話が出た覚えはない」とした。とはいえ、首相が学園の新設計画をいつ認識したかは今後の解明で大きなポイントになる。首相は17年1月20日まで学園が特区の事業者と知らなかったとしている。諮問会議が学園を事業者に決定した日だ。過去には、それ以前から知っていたととれる答弁をしていたが、訂正した経緯がある。柳瀬氏が15年に3回も官邸で学園側と面会していたことを考えると、不自然だ。

 柳瀬氏は首相と加計氏の友人関係について「認識していたが、特別扱いしたことはない」と強調した。しかし「特区の関係で会った民間の方は加計学園だけ」とも述べ、否定するのは無理があろう。

このほかの記事

過去の記事(月別)