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18歳成人

2018年5月11日
◆万全の策講じ混乱避けたい◆

 成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法と関連法の改正案が衆院で審議入りした。成立すれば、明治時代から140年余り続いた「大人」の定義が変わることになり、政府は2022年4月1日の施行を目指す。一方で法務省や文部科学省、消費者庁などから成る連絡会議が「18歳成人」を巡る課題を洗い出し、対策をまとめる。

消費者被害増を懸念

 最も懸念されるのが、消費者被害の拡大だ。18、19歳が親の同意なくローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできるようになり、悪徳商法にも巻き込まれる恐れが出てくる。このため政府は、不当に結ばされた契約は取り消せるとする規定を追加した消費者契約法の改正案も提出している。

 消費者庁はクイズ形式で契約などの基礎知識を紹介する高校生向けの教材「社会への扉」を作成。文科省も消費者教育や教員研修の拡充に取り組む。しかし「まだ不十分」という指摘が専門家から相次いでいる。また多くの自治体が成人式を行う1月、18歳の高校生は大学入試のただ中にあり、開催時期の見直しも課題だ。

 同じ高校生でありながら、成人と未成年が混在することへの懸念もある。社会の枠組みを大きく変えることによる混乱をできる限り避けるため万全の対策を講じ、周知を図ることが求められる。

 消費者被害は新成人に集中しやすい。国民生活センターによると、近年、契約トラブルなどの年間相談件数は18、19歳で5千件台だが、成人になりたての20~22歳では8千~9千件になる。20歳の誕生日の翌日に契約を持ち掛ける業者もいるという。

教育現場の支援課題

 今なら18、19歳は未成年で、親の同意なく結んだ契約は後で取り消すことができる。しかし成人になると、この未成年者契約取消権はなくなる。新成人を保護するために、消費者契約法の改正案には「不安をあおる商法」や「恋愛感情を利用したデート商法」による契約は取り消せるという規定が追加された。

 ただ「判断力の不足などにつけ込んだ契約」も取り消せるようにすべきだと専門家は指摘する。改正内容を検討した内閣府消費者委員会の専門調査会でも提案されたが、自由な経済活動を妨げるとの異論が出て反映されなかった。悪徳商法の抜け道になる恐れがあり、国会での議論が必要だろう。

 法整備とともに両輪となるのが消費者教育だ。文科省は22年度から順次実施される高校の学習指導要領で内容を充実させていくとしている。といっても、脱ゆとり教育が進み、高校の学習内容が増える中、どこまで時間を割けるかとの不安が現場にはある。教育現場をいかに支援するかも焦点になる。成人式の開催時期や在り方も含め、これから新たな課題が出てくることだろう。丁寧な議論を心掛けてほしい。

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