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世界同時株安

2018年2月15日
◆「バブル」教訓として対応を◆

 ニューヨーク市場の株価急落をきっかけに、世界の金融市場に動揺が広がっている。米国の株価下落が一時的なものにとどまらず、米国経済の変調につながれば、世界経済全体に大きな負の影響を与える。米景気の動向を注視し、不測の事態に備える必要がある。

 この株価急落が一時的な調整か、それとも上昇相場の転換点かは、まだ判断が難しい。ただ、1987年のブラックマンデーでは22・6%の下落率だったが、今回は4・6%。「急落」ではあっても「暴落」とは言えない。市場はまず冷静さを取り戻すべきだ。

長期化は景気下押し

 ニューヨーク株式市場の株価が急落した発端は、2日に発表した1月の雇用統計が大きな賃金上昇を示したことだ。連邦準備制度理事会(FRB)が利上げのペースを速めるとの観測から長期金利が上昇し、株が売られた。米株価は緩やかな景気拡大が続く一方、金利と物価があまり上がらない「適温経済」の下で上昇してきたが、過熱感の強まりをバブルと警告する声もあった。

 米国の国内総生産(GDP)や失業率などの経済指標は、物価上昇率がFRBの目標の2%に届いていないことを除いておおむね堅調だ。景気の基調に変化はないとみることができる。長期金利上昇も景気拡大の見通しの反映であり、米経済の強さの証しでもある。株価下落も短期間の調整で済むかもしれない。

 これに対して、米株価はすでに高過ぎる水準にあり、株価下落は長期化するという見方がある。もし今回の株安が「トランプ相場」の終わりの始まりであり、米株価が長期的な下落局面に入るなら、個人消費や企業の投資を冷やし、景気を下押しするだろう。そして米国経済が変調に陥れば、世界経済全体に悪影響を及ぼす。警戒を怠ってはならない。

日本の経済にも波及

 この場面で最も大きな鍵を握っているのは、FRBの金融政策である。パウエル新議長には、金融引き締めを急がず、米国はもとより世界の経済動向にも目配りして、慎重な政策運営をするよう望みたい。

 日本の株価は株価収益率(PER)などから見て過熱感は強くないが、米株価が下げ相場に転じれば道連れは免れず、株価下落は実体経済に波及する。そもそも日本経済は緩やかな景気回復が続いているものの、個人消費などの内需に力強さはなく、世界経済の拡大に支えられた輸出主導の成長だ。株価下落と世界経済の減速は、大きな打撃となる。

 日銀はバブル崩壊やリーマン・ショックの経験を教訓として、危機に対応できる態勢をとっておくべきだ。金融緩和を継続するとともに、経済状況次第で追加策を打てる準備をしておく必要がある。しかし、その場合、残された手段は限られており、日銀の手腕が問われることになるだろう。

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