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陸自ヘリ墜落

2018年2月13日
◆安全性を軽視していないか◆

 佐賀県神埼市で陸上自衛隊のヘリコプターが2階建て住宅に墜落、炎上した。現場は郊外に広がる農地の中の住宅密集地で、小学校や認定こども園もある。近くに墜落機が所属する陸自駐屯地があり、普段から上空をヘリが飛んでいたという。原因はまだ分からないが、複数の目撃情報などから、飛行中に機体から異常音が響き、ほぼ垂直に落下したとみられる。飛行前の定期の整備点検に問題があった可能性もあり、陸自や警察などが解明を進める。

迅速な原因究明必要

 安倍晋三首相は小野寺五典防衛相に対し、同型機の当面の飛行停止と全てのヘリの徹底した整備点検を指示した。だが防衛省が陸自に導入される輸送機オスプレイの佐賀空港への配備を目指す中、民家が巻き込まれる事故を目の当たりにした住民らの間に不安が広がっている。米軍ヘリの不時着や部品落下が相次ぐ沖縄県にとっても、ひとごとでは済まされない。

 政府は原因究明の結果はもとより、再発防止策を具体的かつ分かりやすく説明することが求められる。国の安全保障を担う基地が、地元住民の安全と理解の確保を徹底することなしには十分機能し得ないことを改めて肝に銘じてもらいたい。

 防衛省の説明などによると、墜落したのは陸自のAH64D戦闘ヘリ。4枚の羽根をつなぐメインローターヘッドという部品の交換を行い、試験飛行のために駐屯地を飛び立って7分後に民家に突っ込んだ。安倍首相は衆院予算委員会で「国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の安全を脅かした。自衛隊の最高指揮官として心よりおわび申し上げる」とした。迅速な原因究明などによって住民の不安にきちんと対応できるかが問われる。

オスプレイに影響か

 佐賀県では、事故やトラブルが相次いだオスプレイの配備計画を巡り漁協などが反対し、地元の調整が難航。知事は受け入れの最終判断を保留している。政府高官は「今回の事故は配備計画に影響しない」との見方だが、オスプレイとともに墜落機と同型のヘリも移駐されるとみられ、安全性を巡る議論を軽視してはなるまい。

 神奈川県の米軍厚木基地から空母艦載機の移駐が段階的に進められ、年内にも極東最大級の航空基地となる岩国基地のある山口県でも、事故の不安が広がるのは避けられない。とりわけ米軍機のトラブルが絶えない沖縄県では、より現実味を持って事故が受け止められ、不安は深刻だろう。

 防衛省によると、昨年、在日米軍の航空機やヘリの事故・トラブルは25件が発生し、前年の倍以上だった。特に沖縄で多発しており、10月に大型輸送ヘリが不時着・炎上したほか、12月には小学校にヘリの窓が落下した。日本側は今年初めに再発防止を求めたが、政府はこれまで以上に強い姿勢で米軍に再発防止を迫る必要がある。

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