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トランプ政権1年

2018年1月27日
◆日本は頼らない外交政策を◆

 トランプ米大統領が就任してから1年である。米国第一主義を原則とする政策は国内外を混乱させ、過激な発言は敵対者をつくり、必要な政策の立案・遂行を困難にしている。「米国を再び偉大に」という公約とは逆に、トランプ氏は国を弱体化させたと言える。日本は北朝鮮問題や対中政策、経済・貿易など多くの分野でトランプ氏の言動に左右されている。

分断と対立招く言動

 トランプ氏の平均支持率は40%を切り、最近の大統領としてはこの時期では最低である。より深刻なのは与党共和党支持層の間では支持率は8割を超える一方、民主党支持層では1桁という分断の出現だ。トランプ氏の政策や言動は支持者、特に一部の白人が歓迎するものが多い。秋の中間選挙や2020年の大統領選に向けた支持層の引き締めのためだろうか。これでは長期的な国益や世界の繁栄を築く意図は期待できない。

 外交は、環太平洋連携協定(TPP)やパリ協定からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉開始などこれまで積み上げてきた国際合意の軽視が目立つ。いったん決めた国際取り決めをほごにする姿勢は、米国の威信低下を招いた。特定のイスラム圏諸国からの入国制限措置や最近のアフリカやカリブ海諸国に対する侮辱発言など、人種差別、白人至上主義的な態度も物議を醸した。人種や民族の共存が理念のはずの米国で分断を深めている。

 内政面では30年ぶりといわれる税制改革を実現。しかし富裕層を除いて長期的な恩恵は乏しい。米国財政と経済の長期展望に立ったものではなく、「減税」のイメージが国民全体を喜ばせるという狙いが大きい。

政府高官空席のまま

 メディアとの対立も深まるばかりだ。トランプ氏は今月「偽ニュース賞」を発表し、CNNやニューヨーク・タイムズ紙など伝統的メディアを敵に回す手法を強めている。これも自分の支持層はこれらのメディアに反発していることから、メディアとの戦いは選挙で有利に働くとの本音が透ける。

 トランプ氏にとって最大の懸念は、選挙期間中に陣営がロシアと共謀して対抗馬のクリントン氏にダメージを与える工作を行ったとするロシアゲート疑惑の捜査の行方だろう。元側近らが特別検察官に聴取され、政権の安定性に疑問符がついている。政府の高官ポストも多くが空席のままで、十分な政策遂行は不可能だ。

 トランプ氏の政治スタイルは、中間選挙を控えた今年の米国が政治色を強めるため、むしろ拍車がかかりそうだ。分断と混乱の継続は米国の力をますますそぐ。

 北朝鮮も中国も、世論対策優先の米国と真剣に交渉する気は起こらないのではないか。日本は米国が一方的な対外政策をとらないよう働き掛けるとともに、米国頼りでない地域、国際政策を描き始めるべきだ。

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