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天皇陛下の退位日決定

2017年12月5日
◆安定継承向け直ちに議論を◆

 天皇陛下が退位される日が2019年4月30日に決まった。平成の時代は幕を閉じ、翌5月1日には皇太子さまが新天皇に即位され、新たな元号が施行される。政府は近く、閣議で正式決定。退位や即位の儀式を検討するなど準備を本格化させる。新元号の発表時期も含め国民生活への影響にも配慮しながら滞りなく進めてほしい。

皇族減少待ったなし

 当初は18年12月31日退位の案もあったが、年末年始に重要な皇室行事が立て込むことから宮内庁が難色を示した。また19年3月31日退位については、4年に1度の統一地方選や国会の予算案審議の時期と重なり、静かな環境を確保できないと判断。皇室会議の意見も踏まえ、最終決定した。

 皇室の将来を見据えた議論を怠ってはなるまい。秋篠宮家の長女眞子さまは来年11月に結婚し、皇籍を離れられる。「女性宮家」創設など皇族減少への対策は待ったなしだ。陛下が退位後に上皇となり、新天皇との「権威の二重化」の懸念も残る。いずれも象徴天皇制の根幹に関わる。退位特例法の付帯決議に、「安定的な皇位継承」を確保するため、退位後に政府が速やかに検討し国会に報告するとあるが、それでは遅い。直ちに議論に入るべきだ。

 安倍晋三首相は先の参院本会議で「安定的な皇位の継承の維持については男系継承が古来、例外なく維持されてきた重みなどを踏まえ、慎重かつ丁寧に検討を行う」と述べ、女性宮家創設に慎重な姿勢をにじませた。女性皇族が結婚後も皇室にとどまり、父方が天皇の血を引かない「女系天皇」につながるとの警戒感が保守派に根強い。若い世代の皇位継承資格者は秋篠宮さまの長男悠仁さまだけという厳しい現実もある。

 首相は女性宮家の議論には深入りせず、戦後に皇籍を離脱した旧宮家の皇族復帰も選択肢になり得るとの立場だ。ほかにも皇位の安定継承や皇族減少の先細り解消に関する案はいくつかあり、すべての選択肢をテーブルに載せ、慎重に比較検討する場が必要だろう。

権威二重化に懸念も

 権威の二重化を巡っては、政府の有識者会議が宮内庁から「象徴としての行為は、基本的に全て新天皇にお譲りになる」と説明を受け、最終報告書にその旨を記述。秋篠宮さまも先日、記者会見で「二重権威を危惧する声もあるが」と聞かれ「あり得ないと、はっきり言える」と話された。

 国事行為や被災地訪問といった公務は新天皇が担うとされるが、上皇が私的に地方を訪問したり、頼まれて行事に出席したりすることもあろう。それが報道を通じて公的な色彩を帯び、権威が分散するという指摘もある。有識者会議では「上皇の役割は、ある程度規定した方がいいのではないか」との意見も出たという。結局、議論は棚上げされた。活動は上皇の考え次第になるが、何らかの線引きが必要になるかもしれない。

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