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外国人技能実習制度

2017年11月11日
◆国際貢献の観点から検証を◆

 日本で働きながら技能を身に付ける外国人実習生の受け入れが今月拡大された。これまで農業や漁業、製造業などが中心だった対象職種に初めて対人サービスの介護が加えられ、実習期間も最長3年から5年に延長された。

 少子高齢化が進み、実習生は日本社会にとって欠かせない働き手となった。今後も増え続けるとみられる。実習生の育成と共生の観点から制度の検証と見直しを怠らず、さらに保護を徹底したい。

過酷な労働に批判も

 外国人技能実習制度は日本の技術などを母国の経済発展に生かしてもらうという国際貢献を目的に1993年に導入された。2017年6月末で25万人以上が国内で働いている。うち県内では1950人の実習生がおり(16年12月末)、5年間で1・5倍に増えた。

 介護分野で働く外国人は08年以降、経済連携協定(EPA)の枠でインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から候補者として来日し、介護福祉士の資格を取得。今年9月からは専門学校などに留学し介護福祉士になれば在留資格が認められるようになった。これに今回、技能実習制度による受け入れが追加された。団塊世代が全て75歳以上となる25年に要介護認定を受ける人が604万人に増え、介護職が38万人不足するといわれる。慢性的な人手不足に悩まされている介護現場の窮状が実習制度拡大の背景にある。

 だが実習生を「安価な労働力」として扱う企業・団体も多く、長時間労働や賃金の不払いなどが後を絶たない。労働法制と人権の観点から問題事例が度々指摘され、海外からの批判もある。対策を講じないままの拡大一辺倒では国内外からの支持を得られない。

監視機関の役割重要

 2年以上も最低賃金を下回る賃金しか支払わない、失踪防止を名目にパスポートを取り上げる、といった問題が相次いでいる。資格がないのに重機を運転させ、事故で重傷を負わせた事例報告もある。各地の入国管理局は昨年、239の受け入れ先に「不正行為」を通知。賃金不払いなど労働関係法令違反が134件と最も多く、不正行為の隠蔽(いんぺい)も94件あった。

 政府は新制度への移行に伴い、監視機関を新設した。受け入れ企業への監督を強化し、暴行や脅迫で実習を強制するような人権侵害に罰則を設けた。監視機関の「外国人技能実習機構」が企業に賃金や労働時間を明記した実習計画を提出させ、実地検査で守られているかチェックするとしている。受け入れ窓口となる業界団体などの「監理団体」も許可制にした。

 パスポートを取り上げると今後は処罰の対象になり、機構の役割は重要になる。コンビニ業界も受け入れに乗り出すなど実習生獲得の動きは広がる一方で、監視の目が十分に行き渡るか、危ぶむ声がある。制度本来の目的である国際貢献と実態との乖離(かいり)をこれ以上放置してはならない。

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