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いじめ認知が過去最多

2017年11月8日
◆隠蔽せず組織として対応を◆

 全国の国公私立小中高や特別支援学校を対象とする文部科学省の2016年度問題行動・不登校調査で、いじめの認知件数が32万件を超え、過去最多を更新した。前年度から10万件近い増加となった。けんかや、ふざけ合いといった軽微なものまで積極的に把握するという文科省の方針もあって、学校現場で掘り起こしが進んだとされる。

県内小学校でも急増

 県内もいじめ認知件数が最多の1万947件となり、前年度の1・8倍。内訳は小学校9388件(前年度比4819件増)、中学校1351件(同22件増)、高校166件(同8件増)、特別支援学校42件(同4件減)で、小学校の急増が全体を押し上げた。

 言うまでもなく、数字の把握が目的ではない。重要なのは事例を認知した上で、周囲がどんな対応、対策を取るかだろう。一つ一つの事例に複雑な人間関係や経緯があり、他者には想像もできないような心身の苦痛が当事者に起きている。教員らによる適切な介入とサポートが必要だ。

 いじめの兆候があれば学校は隠蔽(いんぺい)せず、組織として対応してほしい。教員が1人で抱え込まない、ということだ。「いじめゼロ宣言」などの美辞麗句に惑わされず、事実を見る力を養いたい。

 いじめの芽に気付いたら誰かに相談する、そのためには気軽に相談できる関係を普段から築いておくことが求められる。一人一人のわずかな違和感や異変を放置せず、子どもに関する小さな情報を持ち寄って情報の束にし、共有化する。子ども集団の中で何が起きているか、教員が随所で適切に把握できればいじめの早期発見、早期対応につながるからだ。

尽きない自殺の悲劇

 大津市の中2男子のいじめ自殺をきっかけに、いじめ防止対策推進法が2013年施行され、全国各地でいじめを抑止する取り組みが展開されている。それでも、子どもたちが自ら命を絶つ事例が後を絶たない。16年度調査ではいじめを原因とする自殺は10件で、前年度の9件から増えた。

 宮崎市では昨年8月、自殺した市立中学校の男子生徒について、調査していた第三者委員会は同級生によるいじめが要因と認定した。調査結果によると、男子生徒は小学生の時から同級生の少年1人から暴力を受けたり金品を要求されたりしていた。2人の様子に違和感を感じた教員は複数いたものの、深刻ないじめと捉えていなかったという。

 同市では昨年度、7月と11月にも、それぞれ別の市立中学校に通っていた2人が自殺した。原因は特定されていないが、同市議会では「わずか5カ月間で3人の尊い命が失われ、重大」として何度も取り上げられた。筆舌に尽くしがたい遺族の悲しみを思う。二度とこうした悲劇を起こしてはならない。そのために私たちが考え、実践することは山ほどある。

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