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県内に大型企業立地

2017年10月7日
◆人材供給力の伸びしろ強み◆

 キヤノンが高鍋町にデジタルカメラの大型工場を建設することが決まった。木城町にある宮崎キヤノンの工場を移転・拡大する形となり、雇用規模は新工場の稼働から3~5年間で1500人程度になりそうだという。宮崎キヤノンの現従業員約千人を継続雇用するので、新規雇用は差し引き約500人。昨年の日機装に続く製造業の大型進出であり、かつての本県では想像できない状況だ。

生産の国内回帰進む

 日機装が宮崎市高岡町に建設する航空機部品工場では2021年度までに県内から400人の新規雇用を計画する。子会社の宮崎日機装は既に採用を始めており、中途を中心とした3~7月の採用選考には1100人超が応募。応募者の質は高く、予定を40人ほども上回る171人を合格とした。本県への進出理由の一つが、「他県では非常に難しくなっている」(同社)という人材確保であり、狙いが見事に的中した形となった。

 一方、キヤノンは国内回帰の流れの中で、本県での生産を拡大する。経済産業省が昨年末に実施した調査によると、海外に工場を持つ日本企業の11・8%が過去1年間に国内へ生産を戻した。円安やアジアを中心とした人件費の上昇が背景にあるようだ。

 人件費に限らず、地価や電気料金といった海外への投資コストは増加傾向をたどるだろう。貿易自由化が加速して関税の削減・撤廃が広がったり、法人税の実効税率が引き下げられたりすれば、国内回帰がさらに進む可能性がある。

 国内回帰は歓迎すべきことだが、問題は生産の担い手。国内を見渡すと、どの地域も人手不足に苦しんでおり、女性、高齢者の活躍推進やUIJターンの促進などで労働力人口の拡大に努める。

既存企業に目配りを

 本県も例外ではないが、幸いにして他県よりも「伸びしろ」が大きい。本県は高校新卒の就職者の半数近くが毎年、県外へ流出している。全国ワースト1、2位を争う水準であり、大卒者も同様に多くが県外で就職する。ここに確かな伸びしろがある。

 また、これまで大量に人材が流出した分、Uターン希望者も多いはずだ。宮崎日機装の採用選考に合格したUターン者は38人で、平均年齢26歳という。自ら最終面接を行った西脇章社長は「宮崎の人は非常に郷土愛が強く、Uターンに真剣な人が多い。当社より大きな企業から移ってきた人や、内定を待たずに元の会社を辞めて宮崎に戻ってきた人もいた」と驚く。

 人口減少時代にあって、人材供給力は間違いなく企業誘致の際に強みとなる。ただ、大規模雇用を伴う企業立地は経済を活性化させると同時に、県内の既存企業からの転職を誘発したり、新規雇用を難しくしたりもする。実際、宮崎日機装の中途採用のうち7割は県内企業からの転職だった。既存企業への目配り、人材確保支援も決して忘れてはならない。

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