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本県の自殺対策

2017年9月14日
◆鍵を握る若年者層への支援◆

 10日の「世界自殺予防デー」にちなみ、10~16日は「自殺予防週間」。本県の自殺者は近年、全国的な傾向と同様に減少しているが、人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は全国平均を上回り、依然として自殺の多い地域であることに変わりはない。自殺は自ら命を絶つという極めて個人的な問題でありながら、一方で社会的な問題をはらむ。多様な連携を図り、居心地のいい地域づくり、より実効性のある自殺予防対策をあらためて考える契機にしたい。

減少し昨年205人

 自殺の背景には職場や学校での人間関係、失業や非正規雇用に伴う生活苦、介護やDVに起因する家庭内不和などのさまざまな要因がある。それらが複雑に絡み合って深刻化した末に孤立し、死へと追いやられてしまう。

 2016年の自殺者は全国で約2万1千人(厚生労働省「人口動態統計」概数)、1日におよそ57人が亡くなっていることになる。言うまでもなく数の多寡に表せない、一人一人がかけがえのない命である。それほどの尊い命が失われているという意味でも、社会的な問題だ。

 16年の本県の自殺者は前年比50人減の205人、ピークの07年から半減した。自殺死亡率は18・8人で過去20年で最少。2年連続の全国ワースト3位から10位に改善したが、全国平均16・8人を上回る。県は08年度に策定した県自殺対策行動計画に基づき、市町村、関係機関・団体と連携し、相談窓口の拡充、心の不調に気付き支援につなげるゲートキーパーの養成、自殺未遂者らハイリスク者への対応などに取り組んできた。県福祉保健課は「啓発活動や人材育成など総合的な施策の効果が表れてきた」とする。

10~30代の死因1位

 政府が7月に閣議決定した国の自殺対策の指針となる新たな「自殺総合対策大綱」は、「自殺死亡率を10年間で30%以上減少させる」と数値目標を掲げた。自殺死亡率は年々減っているが主要先進7カ国で最も高く、政府には「非常事態はいまだに続いている」との危機感がある。

 40歳以上で顕著に減る一方、20~30代は減り方が鈍り、10代はほぼ横ばいであることも見逃せない。本県も16年、10~30代で自殺が死因の第1位を占めた。将来と可能性のある若者や子どもたちのSOSが行き場を失ってしまう、この悲しい現実に私たちは向き合わなければならないだろう。

 若年者層対策が大きな鍵になる。若者たちの悩みをどうすくい上げ、孤立を防ぐか。生きる道をたぐり寄せるにはどんな支えが必要か。10代向けの特設サイト「宮崎こころの保健室」、自殺予防ポータルサイト「ひなたのおせっかい」も開設されている。学校や地域、家庭でさらに緊密な連携が求められる。SOSをきちんと受け止め、対処してくれるという信頼なしにはどんな仕組みも機能しない。

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