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北朝鮮ミサイル

2017年8月31日
◆深刻な挑発行為を許せない◆

 北朝鮮がまたしても弾道ミサイルを発射、北海道上空を通過し、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。国際社会の核・ミサイル開発放棄の要求にもかかわらず発射を続けるのは、地域の安全を脅かす深刻な挑発行為だ。

 事前の通告もなく日本上空を飛ばしたのは、日本が射程内にあることをあらためて誇示する狙いがあるともみられる。断じて容認できない暴挙であり、即時にやめるよう北朝鮮に強く求める。

米国の出方探ったか

 日本政府は、日本への被害や落下物はないと判断し、自衛隊法に基づく破壊措置は実施しなかったが、全国瞬時警報システム(Jアラート)を作動させ、関係地の住民に避難などを呼び掛けた。

 ただミサイルが日本上空に到達するまでの時間は極めて短く、取りうる対応の限界も浮き彫りになった。ミサイル防衛に万全な態勢はない。北朝鮮が挑発行為をやめるよう、対話による解決に向けて中国やロシアとも連携した外交努力を尽くすべきだ。

 北朝鮮は米韓が実施している合同指揮所演習に反発し、26日には日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射しており、今回はそれに続くものだ。

 北朝鮮は米領グアム近海への弾道ミサイル発射計画を8月上旬に打ち出したが、金正恩朝鮮労働党委員長が米国の出方を「当面見守る」と発言したのを受け、米朝間での対話の可能性が期待されていた。それだけに今回の行動には大きな失望を拭えない。

 北朝鮮としては米国との決定的な対立を避け、グアムから方向を変えて米国側の出方を探ったのかもしれない。だがあまりにも横暴で危険な挑発だ。通常軌道より高く打ち上げる「ロフテッド軌道」ではなく、日本上空を通過させたのは通常軌道でデータを得る技術向上が目的とも指摘される。

圧力一辺倒には限界

 日本にとっては極めて深刻な事態である。安倍晋三首相はトランプ米大統領との会談で圧力強化の方針で一致、「北朝鮮に対話の用意がないのは明らかだ」と指摘した。ただこれまでの圧力一辺倒の対応で、事態が好転していない現実も見極める必要があろう。

 国民に対しても脅威を強調するばかりではなく、冷静な対処を政府に求めたい。政府はJアラートで北海道から関東、信越の12道県に緊急情報を伝え、「頑丈な建物や地下に避難を」と呼び掛けた。だが緊急情報の発出から約3~5分後にミサイルは日本上空を通過。短時間に避難などの対応を取れた人がどれだけいるだろうか。

 首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と強調した。しかし北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2016年に沖縄上空を通過したのに続き、今回が5回目となる。既に射程内にあることを前提とすれば、ミサイルを撃たせない方策しか事態打開の道はない。

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