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地銀再編

2017年8月30日
◆まずは地域での役割見直せ◆

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合が無期延期となった。統合を目指す姿勢は維持しているが、問題となった高すぎる貸出金シェアについては解決の見通しが立たず、統合計画は破談の恐れも否定できない。

 今回は人口減少やマイナス金利による経営環境の悪化に規模拡大で対応しようとした地銀に、公正取引委員会が競争政策上の要請から「待った」をかけた。

寡占化認めない判断

 金融庁の試算では、2025年3月期には6割の地銀が本業の融資事業などで赤字になる。このままでは地域での金融サービスは細っていくということだ。そうした事態を防ぐための有力な方策として再編が課題となり、各地で模索が続いている。公取委は、そうした再編であっても、金融の寡占化で競争が疎外され、消費者の権利が侵されるようならば認めないと判断した。

 新たに売り出した商品が好調で増産のために製造設備を増強したい。賞与原資がちょっと足りない-。そんなときの細やかな対応が期待されているのが地銀などの地域の金融機関だ。

 こうした機能が低下していけば、中小・零細企業は支えを失う。資金繰りに詰まって廃業が相次げば、雇用や住民生活への大きな影響は必至だ。地域経済が衰退すれば日本経済全体に影響が及ぶ。

 地銀再編は生き残りを懸けた大きな流れだ。公取委には、地域の実情に合わせた金融サービスの在り方を模索する中で、競争政策の考え方や運用面の工夫はできないか、個別案件ごとに検討できる余地はないか、など再編に向けた要望が高まることだろう。

柔軟な融資を続けて

 FFGと十八銀行が、公取委が示したハードルを越えて再編が実現すれば、総資産規模が約19兆円に上り、横浜銀行と東日本銀行が統合したコンコルディア・フィナンシャルグループを抜き、最大の地銀グループになる。

 九州では肥後銀行(熊本市)と鹿児島銀行(鹿児島市)が設立した九州フィナンシャルグループ、西日本シティ銀行(福岡市)などが昨年10月に設立した西日本フィナンシャルホールディングスは広域営業に注力するとみられ、さらなる合従連衡を探る機運が高まるかもしれない。本県も無縁ではいられない可能性がある。

 地銀経営者にも注文がある。事業の収益性・将来性を適切に評価せずに融資先がないと嘆いていないか。担保を不動産に限定せず柔軟に対応し融資を続ける努力をしていれば、マイナス金利の影響は限定的なはずだ。

 資金を不動産貸し出しに安易に流し、カードローンなどの営業に傾斜しているなら、地域に正面から向き合った経営とは言えまい。再編の前に、痛みを恐れることなくできる限りの経営改革を進める必要があるはずだ。

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