ホーム 社説

オスプレイ事故

2017年8月11日
◆飛行停止と安全確保求めよ◆

 重大な事故が起きた場合、まず安全を確保した上で原因究明を尽くすのが当然の対応だろう。だが日米間ではその当たり前の原則さえ守られないのが現実だ。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイがオーストラリア沖で墜落、海兵隊員3人が死亡する事故を受けて、日本政府が国内での飛行自粛を申し入れたにもかかわらず、米軍は沖縄県内で飛行させた。

小林市上空で損壊も

 普天間所属のオスプレイは昨年12月に沖縄県名護市の浅瀬に不時着、大破する事故を起こしたが、その際も事故からわずか6日後に運用が全面再開されている。

 2012年に普天間に配備されたオスプレイは全国の米軍基地や自衛隊駐屯地に飛来。陸上自衛隊も導入・配備を計画しており、関係地は全国に広がる。

 本県では、航空自衛隊新田原基地(新富町)の航空祭でオスプレイが展示されたのを除いて、県内の上空を飛行したとの情報はない。だが小林市の上空で2014年6月、普天間所属のオスプレイが被雷してプロペラを損壊していたことが今年1月に分かり、市民から不安視する声が上がった。

 米軍は今回の事故後の飛行について「安全性を確認した」とするが、事故原因は明確になっていない。関係地から上がる不安の声に耳も貸さないのか。日本政府は米側に飛行を直ちに停止し、事故原因の究明と説明を尽くすよう求め続けるべきだ。

 オスプレイは開発段階からトラブルが相次いでいる。事故時の態様はさまざまだがなぜ重大事故が相次ぐのか。機体自体の構造的な欠陥であれ、人為的なミスであれ、関係地の不安は募る。

 日本政府の対応も腰が引けている。小野寺五典防衛相が事故直後に米側に申し入れたのは、あくまで「自粛」であり、「飛行停止」ではない。

当事者能力ない政府

 8日に公表された17年版の防衛白書は、昨年の沖縄での事故を踏まえて「米側に対し、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていく」と明記したが、その言葉が実行されているとは言い難い。

 沖縄県の翁長雄志知事が「日本政府に当事者能力がない。国民を守る気概があるのか」と批判したのは当然だ。

 江崎鉄磨沖縄北方担当相は記者会見で「地位協定をもう少し見直さないといけない」と発言。「米国に言うべきことを言い、話し合うべきだ」と述べた。まっとうな考えだ。

 ところが安倍政権の方針と異なるため、閣内不一致との指摘を恐れたのか、会見から数時間後に「政権の方針に沿った発言だ」と軌道修正した。当初の言葉が本心ならば主張通りに行動すべきだ。その覚悟もなく発言したとすれば閣僚失格と言わざるを得ない。

このほかの記事

過去の記事(月別)