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ARF閣僚会議

2017年8月10日
◆北朝鮮制裁に一層の結束を◆

 マニラで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議で、北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相は核・ミサイル開発を「米国の軍事侵攻を防ぐ戦争抑止力だ」として正当化する主張を繰り返した。

 参加各国の間で受け入れる声は一切なく、強い非難を浴びたのは当然だ。国際社会が結束して、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を7月に2回発射した北朝鮮に新たな制裁を科した国連安全保障理事会の決議を履行するよう求めたい。また、危機回避のため外交努力に知恵を絞ることを期待したい。

関係見直し求める声

 ARF閣僚会議はアジア太平洋地域の安全保障問題を話し合う場だ。毎年のASEAN外相会議に合わせ1994年に始まった。日本、米国、中国、韓国、ロシア、欧州連合(EU)など現在27カ国・機構が参加する。

 北朝鮮は2000年から参加した。数少ない国際社会との接点だ。国交がない日朝、米朝などの外相が接触する貴重な機会となっており、04年の日朝外相会談では拉致被害者曽我ひとみさん一家を再会させる合意をした。

 韓国と北朝鮮の外相が会う場でもある。今回は韓国の康京和(カンギョンファ)外相と李外相が会話を交わしたが、李外相は韓国の対話提案に否定的だったという。

 北朝鮮がARF閣僚会議に参加しているのは、長年にわたって多くのASEAN加盟国と友好関係を保ってきたからだ。だが、今年はマレーシアで起きた金正男(キムジョンナム)氏殺害事件もあり、ASEAN内で関係見直しを求める声が出ている。

 ARF閣僚会議に先立ち、ASEAN外相会議は北朝鮮の核実験やミサイル発射を非難する緊急声明を出した。

 北朝鮮の李外相は失望を表明したが、友好関係にあるASEANから厳しい批判を浴びた事実を重く受け止め、極端な軍事増強路線を考え直すことを求めたい。

中ロと米が歩み寄る

 国連安保理はARF閣僚会議の前に会合を開き、北朝鮮の石炭や海産物の輸出を全面的に禁止する制裁決議を採択した。厳しい制裁に消極的だった中国、ロシアと、国際圧力を強めたい米国が歩み寄った結果であり、採択を評価したい。問題は中国、ロシアが制裁を厳格に実施するかどうかだ。

 ARF閣僚会議では、日米韓が圧力強化を訴えたのに対し、中ロは「北朝鮮の核・ミサイル開発と、米韓の大規模軍事演習を同時凍結する」との案を主張し、立場の違いが際だった。

 河野太郎外相にとっては、外交デビューとなった。米国、中国、韓国、ロシアなどと個別会談をこなし、北朝鮮の李外相とも言葉を交わした。父の河野洋平氏は外相として第1回ARF閣僚会議に参加、日朝外相会談を初めて実現させた。アジア重視の姿勢をどう受け継いで日本外交を率いていくのか注視したい。

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