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日中、日韓会談

2017年7月12日
◆関係修復を軌道に乗せたい◆

 安倍晋三首相は、20カ国・地域(G20)首脳会合が開かれたドイツ・ハンブルクで中国の習近平国家主席と昨年11月以来の首脳会談を行い、両国関係の修復に向けて国際会議の機会や両国間の相互訪問を念頭に、首脳間の対話を重ねていく方針で一致した。

 今年5月に就任した韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領とも初めて会談。両首脳が年1回程度相互に訪問する「シャトル外交」の再開で合意した。

 日中、日韓の2国間の難しい課題には今回は深入りせず、未来志向を打ち出すことに重点を置いた会談だったと言えよう。北朝鮮の核・ミサイル開発で北東アジア情勢が不透明さを増すだけに、日中、日韓の連携が重要になる。この流れを逃さず関係修復を軌道に乗せる外交努力を求めたい。

「一帯一路」に協力へ

 日中首脳会談で首相は中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を評価し、条件を付けながらも協力していく考えを伝えた。

 習氏との会談で直接、協力を表明した意義は大きい。安倍政権はこれまで民主主義や法の支配などの「価値観の共有」を前面に打ち出し、対中包囲網を形成する外交に主眼を置いていた。軌道修正と言えよう。

 北朝鮮問題では中国の関与が重要であり、トランプ米政権の対中国、北朝鮮政策が依然として不明確な中で、対中包囲網外交から転換する必要性を認識したからではないか。今年は国交正常化から45周年、来年は平和友好条約集結40周年の節目に当たる。

 一方で重い課題は残る。首相は会談で、中国公船が沖縄県・尖閣諸島付近の領海侵入を繰り返す東シナ海情勢について「法の支配に基づく海洋秩序が重要だ」として状況の改善を要請。習氏は歴史認識や台湾問題に触れて「少しの後退もしてはならない」と日本側をけん制した。

慰安婦問題は平行線

 東シナ海などでの偶発的な衝突を防止する防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期運用に向けた努力も確認したが、ここ数年、目標を掲げながら進展しない。早期の実現に尽くすべきだ。

 韓国の文大統領との会談では、2011年12月以来途絶えていたシャトル外交の再開で合意した。ただ15年末の慰安婦問題に関する日韓合意については平行線のままだった。

 それでも文氏が「両国が共に努力し、賢く解決しなければならない」と述べたのは、北朝鮮問題をにらみ、対立を浮き彫りにすることを避ける配慮からだろう。

 その北朝鮮対応では日本と中韓両国の違いが鮮明になった。首相が圧力強化を主張したのに対し、習氏は対話重視の姿勢を示した。文氏も南北対話の再開に意欲を示した。米ロも含め関係国の足並みはそろわない。強硬路線一辺倒で打開できるのか。日本も戦略的な対応が求められる。

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