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日欧EPA大枠合意

2017年7月11日
◆打撃大きい本県産守りたい◆

 日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)で大枠合意した。トランプ米政権などが保護主義に傾き、環太平洋連携協定(TPP)の行方が不透明になる中、国内総生産(GDP)で合わせて世界の3割を占める日本とEUが、開かれた貿易を推進することで合意した意味は大きい。

 関税を撤廃したり大幅に引き下げたりすることで、日本の消費者にとっては安く買える農産品などが増える。またEU向けの工業品輸出に競争力が増す。産業や社会のありようが大きく変わる。

世界への売り込みも

 一方で、割安な農産品が市場に流入することによって、本県などの生産者が打撃を被ることは必至だ。特にTPPでは対象外だったソフト系チーズの関税が優遇されれば、これまでチーズ向けだった北海道産生乳が余り、飲用として全国に出回ることで国内需給の混乱が予想される。県内の酪農関係者には死活問題となろう。

 輸入豚肉、集成材についても価格が引き下げられれば、国内で大きなシェアを占める本県産が厳しい競合を強いられるのは確実。県内生産者からは「安全網対策をしっかりしてほしい」という注文が上がっている。必要に応じ財政措置も検討し、打撃を最小に抑える中で、将来を見据え日本農業を強化する改革を着実に進めたい。

 守り一辺倒ではなく、世界市場に攻め込むことも目指すべきだろう。日本産の農産品を世界中の人々に楽しんでもらうにはどうしたらいいのか。これまで以上に農家の経営改革、商品開発、市場調査などに官民を挙げて取り組まなければならない。生産者の急速な高齢化、耕作放棄地の拡大を考えれば、時間は乏しい。関係者は危機感を持って臨んでほしい。

背景に食生活の変化

 交渉の最大の焦点は、日本からEUに輸出する自動車と関連部品、EUから日本に輸出するチーズの扱いだった。自動車は、ライバルの韓国が既にEUとの間で自由貿易協定(FTA)を結び関税を撤廃しているだけに、日本にとっては最重要テーマの一つだった。

 チーズは、日本国内で消費が大幅に伸び、食生活の変化や好みの多様化でさらに市場規模が拡大するのは確実とされており、EUは日本市場開放を強く求めてきた。

 2013年から始まった交渉は4年余り、合意目標の期限を延期しながら粘り強く進められた。米国がTPP離脱を表明した後はとりわけ、本格的な大型の自由貿易交渉として注目され、その成否に世界中の通商政策当局者、企業経営者らが注目していた。

 国内農家の保護策のほかに残された課題がある。進出先で、不公平な条件を強制されて損害を被れば、企業が現地の政府を訴えることができる紛争解決手続きが先送りになった。現地で、企業が安心して投資や事業展開ができる環境は必要だろう。担当者のさらなる努力を求めたい。

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