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加計文書再調査

2017年6月15日
◆解明へ関係者の国会招致を◆

 岡山の学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り「総理のご意向」などを記録した文書が明るみに出た問題で、松野博一文部科学相は再調査を表明した。文書は内閣府との協議内容などを文科省側で書き留めた形になっているが、松野文科相は5月に「存在を確認できない」とする調査結果を公表。野党が求める再調査を拒否していた。

 しかし今年1月まで文科事務次官だった前川喜平氏が記者会見して「文書は本物」と断言。報道機関の取材に文科省の現役職員たちからも「省内で共有していた」などの証言が相次ぎ、世論の反発が高まっていた。

政府の対応は不誠実

 方針転換は遅きに失した感はあるが、きちんと省内を調べれば文書は出てくるだろう。問題はその後だ。国家戦略特区制度の下で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人が獣医学部新設の事業者に選定されるまでの過程で特別扱いされたり、行政がゆがめられたりすることはなかったか-を徹底的に検証する必要がある。

 証人喚問に応じる意向を示している前川氏はもとより、文科省や内閣府など関係府省で特区制度に関わった担当幹部らを国会に呼び、詳細な証言を積み上げることが求められる。その上で「行政がゆがめられたことはない」との政府の主張が信用に値するかを国民が判断することになろう。

 加計学園問題で政府の対応は不誠実極まりない。獣医学部新設に慎重だった文科省に対し、特区担当の内閣府が「総理のご意向」や「官邸の最高レベルが言っていること」を盾に「早期開学」を迫ったとする文書を民進党が入手。追及を強めると、文科省は省内調査を実施すると発表した。

 ところが1日足らずの調査で「存在を確認できなかった」と早々に結論を出した。個人のパソコンは調べていなかった。

不都合な事実隠すな

 松野文科相は「行政文書としては存在していない。個人の文書としても確認されなかった」と説明した。メモを含む個人の文書は保存・公開を義務付ける公文書管理法などの対象外だから個人のパソコンまで調べる必要はないという理屈で押し通そうとした。

 前川氏は昨年秋に担当の専門教育課から説明を受けた際に見せられたと述べており、次官への説明に用いられたのだから立派な行政文書といえるが、菅義偉官房長官は「怪文書」と決めつけた。さらに前川氏への個人攻撃を展開。その後、さまざまな文書や証言が出てきても、「出所不明なものは調査しない」と繰り返していた。

 森友学園問題では、財務省が省内規則に基づき国有地売買を巡る面会・交渉記録を廃棄したとし、詳しい説明を拒み続けた。役所が不都合な事実を隠して、ひたすら「問題ない」と言いつのるありさまをまたも見せつけられ、国民の不信は高まっている。

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