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口蹄疫から7年

2017年4月20日
◆試練が高めた宮崎ブランド◆

 2010年の口蹄疫では29万7808頭の牛・豚を失った。発生を確認した4月20日から、ちょうど7年が経過した。宮崎日日新聞社はこの日を毎年、「口蹄疫を忘れない日」とするよう提唱している。

 あの時の苦痛から目をそらさず、爆発的な感染拡大から得た教訓を記憶し続ける日としたい。基幹産業であり、宮崎牛をはじめとするブランドを生み出す本県の畜産を守るためには高い防疫意識の維持が必要だ。再度、その体制を確認する日にもしたい。

雌牛頭数の回復が鍵

 ここ数年で畜産業界、とりわけ黒毛和牛をめぐる経営環境は激変している。

 大消費地である首都圏を中心とした空前の牛肉食ブームに支えられる形で枝肉価格が右肩上がりで上昇。肉質4等級枝肉のキロあたりの平均価格は、口蹄疫発生時の1600円台から、昨年は2400円台にまで跳ね上がった。

 枝肉価格の高騰だけでなく、生産者の高齢化に伴う農家戸数の減少で、本県の家畜市場で取引される子牛価格も急上昇している。旺盛な需要があるにもかかわらず、市場への供給頭数が減っているからだ。

 平均価格は、7年前の38万円台から昨年は75万円台と倍増した。特に品質の良い雌牛は超高値で売買される傾向にあり、最も高い牛で1頭355万円の値が付くほどである。

 子牛を生産する農家にとってはこの上ない状況だが、喜んでばかりはいられない。子牛を成牛に育てる肥育農家の経営を圧迫しているだけでなく、質の高い雌牛の県外流出は、肉牛産地である本県の生産基盤を揺るがしかねない。

 繁殖雌牛を地域につなぎ留める県の「保留対策」は効果を上げている。しかし、家畜市場への子牛の出荷頭数は減少傾向が続いており、子牛を産むだけでなく、優秀な遺伝子を残す役割を持つ雌牛の頭数回復が生産基盤安定の鍵を握る。

世界の宮崎牛へ挑戦

 2010年の口蹄疫を経て、5年に1度開かれる全国和牛能力共進会(全共)の12年長崎大会で、宮崎牛は種雄牛の大量殺処分などのハンディを乗り越え連覇を達成し、県民の感動を呼んだ。

 10年間維持した「日本一」の称号で宮崎牛の知名度は飛躍的に向上し、松阪牛、神戸ビーフ、米沢牛などの老舗銘柄とも肩を並べつつある。口蹄疫の試練が逆に和牛農家のプロ意識を高め、宮崎牛は県民が誇る全国トップクラスのブランドになった。

 今年9月7日、仙台市で開かれる宮城全共で、県勢は過去の大会でどの産地も達成していない3連覇に挑む。この大会を制すれば、19年ラグビーW杯日本大会、20年東京オリンピックの年にも「和牛日本一」の座を守ることになる。

 宮崎牛が世界のブランドへと羽ばたく日を夢見たい。

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