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東芝危機

2017年4月15日
◆失敗の直視が再生の起点だ◆

 日本を代表する総合電機メーカーの東芝が、深刻な経営危機にひんしている。

 米国での原発事業に巨額の損失が発生したためで、今年3月期は自己資本が6千億円余りのマイナスとなる債務超過が確実。危機脱却へ中核の半導体事業を高値で売却し、多額の資金獲得を目指しているが、思惑通りに実現するかは予断を許さない状況である。

リスクの把握に甘さ

 東芝の経営問題は2015年に不正会計が発覚し表面化。歴代3社長が引責辞任することなどで出直しを図ってきた。

 しかし、現経営陣が想定していなかった今回の事態は、事業のリスクや将来性の把握が甘く、適切な判断を下せていなかったことを意味しよう。経営の失敗である。

 東芝の再生は、この失敗の原因と構造を直視することから始まる。経営管理の難しい海外原発事業への多大な投資が妥当だったかどうか、などの点である。

 不正会計問題を経て、経営正常化へ向かっているとみられていた東芝が再び困難に直面するきっかけとなったのが、米国での原発事業である。

 米国で原発建設中の子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)に関して昨年末、見込みを大幅に上回る費用を確認。その影響で東芝本体の巨額損失と債務超過が避けられなくなった。3月末、WHを法的に経営破綻させ影響を断つことを決め、同社に米連邦破産法の適用を申請させた。

 この問題の影響で東芝は予定された16年4~12月期の決算公表を2度延期。11日にようやく発表したが、監査法人による「適正」の意見が付かない異例な形となった。

技術の国外流出懸念

 東芝は廃止だけでなく、会社存続の瀬戸際にあると言っても過言ではない。今年3月期は1兆100億円と過去最大の赤字が見込まれている。

 東芝が巨費を投じてWHを買収したのは06年。地球温暖化で原発が再評価された「原子力ルネサンス」の時期に当たり、事業拡大をもくろんだ。

 しかし安全対策のコストは上昇し続け、それが東京電力福島第1原発事故で決定的になった。ビジネスとしての将来性を問い直す機会は度々あったにもかかわらず、方向転換できなかったことが現在の危機を招いたといえよう。

 この点では、原子力ルネサンスの旗を振った経済産業省の政策責任も無視できまい。

 東芝は、半導体事業を2兆円規模で売却することにより資金を手当てし、債務超過の早期解消を目指している。だが先端技術の国外流出を懸念する政府の口出しなどで計画通り進むかは不透明だ。

 「虎の子」の半導体を手放した後に、どのような企業に生まれ変わるのか-。東芝には、その明確な青写真を示すことが同時に求められている。

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