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PKO日報隠し

2017年3月18日
◆徹底調査でうみを洗い出せ◆

 陸上自衛隊が「廃棄済み」として情報公開請求に応じなかった南スーダン派遣の国連平和維持活動(PKO)部隊の「日報」が、実は陸自自体に保管されていたことが判明した。陸自がいったんは公表を検討したが、統合幕僚監部の幹部が保管の事実を非公表とするよう指示していたという。

 日報には、昨年7月に起きた政府軍と反政府勢力との大規模紛争が「戦闘」という表現で記載されていた。日本政府は現地の治安は比較的安定しており、「戦闘」は起きていないとしてPKO派遣を継続してきた。政府判断に不都合な日報を、防衛省が意図的に隠蔽(いんぺい)したということではないか。

稲田氏の早期交代を

 防衛省・自衛隊が扱う情報には一定の機密情報があるとしても、その隠蔽体質がこれまでも指摘されてきた。徹底的に調査し、組織のうみを洗い出す必要がある。

 これまで稲田朋美防衛相は「陸自の保管分は全て廃棄した」と説明してきた。稲田氏が一連の経過を知らされていなかったとすれば、省内を統率できていない証左であり、シビリアンコントロール(文民統制)に関わる事態だ。

  稲田氏は、国有地の格安払い下げ疑惑で問題となっている学校法人の訴訟に関与していないとした国会答弁を撤回。「虚偽答弁だ」と野党は辞任を求め、日報問題でも責任を追及している。

 「徹底的に調査し、改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と稲田氏は強調した。だが、自衛隊が稲田氏の存在を軽視していたとすれば、組織改革が本当に進むのか疑問だ。

 早期に稲田氏を交代させ、新たな体制で解明に臨むべきではないか。稲田氏を重責に起用した安倍晋三首相の任命責任も問いたい。

「撤収」説明に疑問符

 日報に関し防衛省は当初、情報公開請求に「陸自で廃棄済み」として不開示を決定。その後、統幕監部に電子データとして保管されていることが判明した。

 ところが、その情報を稲田氏に報告したのは約1カ月後。さらにその後も稲田氏は「陸自では発見できなかった」と答弁を繰り返してきたが、3月になって陸自でも保管されていたことが分かった。

 この事実は陸自トップの陸上幕僚長にも報告されており、統幕監部の幹部が非公表を指示していたことと合わせれば組織的な隠蔽と考えざるを得ない。

 また一連の経緯を見れば、稲田氏が指導力を欠いているのは明らかだろう。

 安倍政権は南スーダンPKOに関し、5月末を目途に撤収させる方針を決めた。道路整備などの活動に一定の区切りを付けることができるためだとし、治安情勢を考慮したものではないとしているが、この説明にも疑問符が付く。

 規律を何よりも重視すべき実力組織の自衛隊が、意図的な情報隠しを行っていたとすれば、国民の信頼は失墜する。

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