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ブラインド碁で神の一手を

2019年12月11日
 20年前、「ヒカルの碁」が囲碁ブームを巻き起こした。平安の都で天皇の指南役だった棋士が甦(よみがえ)り、碁を知らない現代っ子に宿って「神の一手」を極めようとする漫画。影響を受けて碁を始めた子も多かった。

 吉原(旧姓梅沢)由香里棋士の監修だけに囲碁の奥深さが分かるうんちくが満載だった。天才棋士の少年が囲碁部の先輩らに目隠し碁で勝負を挑まれる場面では、上級者が盤面を見なくても碁を打てるのは「一手一手に意味があり記憶がつながるから」と教える。

 視覚障害者も囲碁が楽しめる環境を広めるために日本棋院宮崎支部がブラインド碁の体験会を開いた。障害者や支部会員が視覚に頼らずに対局した。同支部役員らは昨年、大分県であった国民文化祭で視覚障害者が対局する姿に感銘を受けて普及に乗り出すことを決めた。

 「ヒカルの碁」には対局者がふたりとも白石を持って打ち合う一色碁(いっしょくご)も登場する。盤面が複雑な情勢になって、どっちが優勢か分からない碁会所の愛好者にプロのトップ棋士が言う。「形で頭に入れるんですよ。石の形で」。一手一手がつながって変幻自在なかたまりになるのも囲碁の面白さだろう。

 線が3ミリほど盛り上がった専用の碁盤があれば視覚障害者同士の対局ばかりではなく、視覚障害者と健常者も対等に打ち合えるのがブラインド碁の利点だ。普及させて両者が交互に一手一手を積み重ねつつ理想の形にしていきたいバリアフリーの社会である。

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