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拳でつかむ栄冠

2019年12月3日
 ベネッセが今年生まれた赤ちゃんの名前調査の結果を先月発表した。男の子は2年連続で蓮(れん)、女の子は4年連続で陽葵(ひまり)が最多。令和への改元で、日本の伝統や和、新時代をイメージする名前が増えたという。

 名は体を表すことがある。Jリーグのサッカー選手に「しゅうと」の名を持つ選手が多い時には8人いたと聞く。今も5、6人いると思う。おそらくサッカー好きの親が命名して幼少時からサッカーをさせた結果だから、すべて名前のおかげとはいえないのだが。

 それでも名前がどこかで本人の性向を左右することはあるかもしれない。歴史家の磯田道史さんは「親に何となく『道史』とつけられたが、現実に史の道に入ってしまった」として「名前というものが実際を支配することもたしかにある」と考える(著書「江戸の備忘録」)。

 県勢第1号の東京五輪代表を決めた西村拳(けん)さん(空手・組手男子75キロ級)の名は、元王者の父が命名に関わったと推測する。とはいえ名前だけで実力が伴うわけではない。昨日の記事によると「小さいころはか弱くて練習嫌い」で腰のけがに悩まされながら、地道な努力を続けてトップ選手になった。

 宮崎第一高3年だった2014年、宮日スポーツ賞を受賞し「世界一を目指す」と力強く語っていた。空手は東京五輪で初採用の競技。日本発祥とあって、代表の重圧を感じているはずだが「さすが、拳(こぶし)でつかんだ栄冠」と世界が納得する活躍を期待したい。

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