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狭まる自由と権利

2019年11月21日
 「香港旅行を予定していたが、取りやめた」という話を県内でも聞く。もっともなことだろう。民主化を求めるデモ隊と警察が激しく衝突し、戦場さながらの騒然とした光景を見ると、足がすくんでしまう。

 大学に立てこもる学生らの武器は投石や火炎瓶。”戦闘”のプロ集団である警察と正面からぶつかっても勝てるはずがない。同情する国際世論の”援軍”を待つにしても、あくまで中国の”国内問題”。他国は表だった干渉を控えざるを得ない。包囲網は迫っている。

 「香港を知るための60章」(明石書店)によると、中国への返還以前「秩序正しいデモや請願を行い、政府関係者が礼儀正しく請願書を受け取る」という民主的な政治体制を懸命に維持してきた。自由と権利が刻々と狭められる中、負け戦覚悟で挑む若者らの悲憤も分かる。

 民主勢力にとって悲観的な情勢の中、香港高等法院(高裁)が「覆面禁止法」を違憲とした判断には一筋の光を見たことだろう。返還後も英国統治時代の法制度が引き継がれているため、今も司法の独立が守られているという。もっとも中国政府は激怒している模様。介入する可能性も否定できない。

 同書は香港を「日本を相対化して見る上で最も格好な社会」と多くの共通点を指摘する。本県とも経済や文化交流で関わりが強まる香港。修学旅行で来県した高校生らの顔が浮かぶ。重大な転換期を迎え、何を思い、民主化運動にどう関わっているのだろう。

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