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ムベなるかな

2019年11月19日
 季節と自然の恵みはうまくできているもので、これから本格的な寒さを迎える今の時季は、たっぷりと秋の味覚が体に滋養を蓄えさせてくれる。先日は、道の駅「えびの」でアケビとムベの実が並んでいた。

 並んでなければ、区別がつかなかった。知らない人のために一応説明すると、アケビはつる性の植物にサツマイモ大の実がぶら下がり、熟れると裂けてカエルの卵のような中身がのぞく。昔は山で遊んでいて野生の物を見つけたら、ありがたがって食べたものだ。

 ムベは近い種類と思うが、形は丸っこい。せっかくなので両方買って食べ比べてみた。スプーンで中身をすくって食べる。種を口の中でより分けるのが面倒だが、どちらもほんのりした甘さ。味は確かに違う、が言葉にするのは難しい。ムベの方がやや上品な感じがした。

 綾町にある雲海ワインの醸造場で、本格的なスパークリングワインの製造工程を見せてもらった。白ワインに酵母と糖を加えて再発酵。発酵を終えてオリとなった酵母を、瓶を回しながら集める。約50日もかかる膨大な作業だ。瓶口にたまったオリを抜く「口抜き」が見もので、瓶口を冷凍して抜栓。

 瓶内の圧力でポンと飛び出す。複雑で手間のかかる工程は、きめ細かい泡をワインに溶け込ませるためだ。値は張るが、これから年末年始のお祝いには格別の一本となろう。生産者の苦労を知ると「うまいのもムベなるかな(もっともだ)」とうなるはずだ。

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