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先生のこと、おかあさんって呼んじゃった

2019年11月18日
 「きょうね わたしね 先生のこと おかあさん―って よんじゃった そしたら みんなクスクスわらったよ」。原田直友さんの第五詩集「神さまと雲と小鳥たち」に収録されている「きょうね」である。

 原田さんは戦後すぐに師範学校を繰り上げ卒業後、山口県や東京都板橋区で小学校の教員をしながら詩を書いてきた人。作品ができ上がると子どもたちに批評してもらったそうだ。詩も、童心も子どもたちから学んだという(水内喜久雄著「詩にさそわれて」)。

 教員不足を背景に全国で教員免許所有者の争奪戦が過熱している。そのため県教委は2020年度採用試験から、小学校教諭を対象に大学推薦枠を新設する。大学の推薦を受けた学生は1次試験を免除する。本県出身者を中心にした優秀な人材の獲得につなげるのが狙い。

 本県における小学校教諭の採用試験の倍率は、2019年度は過去最低の1・7倍だった。全国的に教員の大量退職時代を迎えて採用枠が拡大する一方、近年の就職状況が「売り手市場」で教員免許取得者の一部が民間企業に就職している実情を踏まえ、県教委では新たな試験制度を検討してきた。

 原田さんの詩で、「おかあさん」と呼ばれた先生はわらいながら「なあに 春子ちゃん おやつ ほしいの」と答える。ほのぼのとした教室の景色が目に浮かぶ。新設の推薦枠で先生にしてほしい、なってほしい人がいる。子どもへの温かい眼差(まなざ)しの持ち主だ。

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