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サムシングブルー

2019年11月12日
 ヨーロッパに古くから伝わる風習だ。「サムシングフォー」のひとつで「何か青いもの」を肌身につけた花嫁さんは、必ず幸せになれるとされる(桜井輝子著「日本の色 売れる色には法則があった!」)。

 さわやかで清楚(せいそ)さを象徴する青は、時代や民族に関係なく世界中どこでも好まれている色。そういうことを歌人が意識したはずはないが若山牧水が「樹は妙(たへ)に草うるはしき青の国 日向は夏の香にかをるかな」と詠んで以来、青は本県をイメージする色になった。

 大坪篤史著「青の国を旅しよう~宮崎の魅力を伝える」を読んだ。著者は農政水産部長など務めた元県庁マンで現在は宮崎空港ビルの常務取締役。本は宮崎のいい所を肌で知る人しか書けないガイドブックだ。ページをめくりながら県内くまなく旅している気分になった。

 本のタイトルはもちろん牧水の作品に由来する。牧水には18、19歳のころ、美々津の海と咲き誇る山桜の色のコントラストに感激して詠んだ「行きつくせば浪青やかにうねりゐぬ 山ざくらなど咲きそめし町」という歌もある。歌人の伊藤一彦さんによると、「青やか」とは青く鮮やかという意味。

 大坪さんの信念は〈ないものねだり〉するよりも〈あるもの探し〉する方が幸せに近づける、だ。そして宮崎にはその答えがたくさんあるという。県民それぞれの「何か青やかなもの」があるはずだが、まだ気づいていない人には、きっとこの本が参考になる。

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