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破綻した英語民間検定試験導入

2019年11月6日
 作家筒井康隆さんの「創作の極意と掟(おきて)」によると小説の破綻にはストーリーや結末、外的状況のほか、作者自身の破綻、中断などがあるという。内容としては優れていても、破綻があると全体にけちがつく。

 「小説のラストが破綻しているのは、明らかに作者が作品全体のことを考えずに書き始めたから」と断じる。先週は、破綻やどんでん返しが集中した。まず東京五輪のマラソン、競歩のコース。開幕まで9カ月を切った段階で東京から札幌市へ変更が発表された。

 しかも開催都市以外でマラソンが行われるのは初めて。東京都にとっては、ちゃぶ台返しだ。「暑さを避けるため」が理由だが、もっと早く予測できなかったか。コースの認定、変更に伴う経費負担などの問題が残る。だれもこんな混乱極まるストーリーを読めなかった。

 こちらは完全に破綻した。大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入。「共通ID」申し込み受け付けの当日、土壇場での見送りとなった。萩生田文科相の「身の丈」発言が引き金だが、そもそも異なる民間試験を同じ土俵に立たせて大学入試を丸投げする評価の仕組みに根本的な不備があった。

 特に本県のような地方では、受験会場の遠さや経費の高さなどで不公平感があった。マラソンも英語試験の問題も欠けているのは、当事者の視点。「雨降って地固まる」ということわざもある。ストーリーを練り直して登場人物を生き生きと動かしてほしい。

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