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シルバー川柳で詠む世相

2019年9月16日
 「誕生日ローソク吹いて立ちくらみ」。社団法人全国有料老人ホーム協会が毎年募集・選考して本にしている「シルバー川柳」から。手持ちの本は数年前の発行だから少し古いが、面白さは今も色あせていない。

 敬老の日。バリバリ働いて、遊ぶ元気なお年寄りは増えたが、社会や暮らしに悩みや愚痴も多いだろう。言葉にすれば気分が晴れる。客観的に自分を見つめることで新たな希望もわく。五七五の短い詩形だが、川柳は世相の核心を突く有効な手段でもあるようだ。

 シルバーとはうたっていないが、毎週の宮日文芸・川柳(間瀬田紋章さん選)にも高齢者視点の作品が多く載る。最近の掲載作品をいくつか紹介しながら世相を読み解きたい。以下敬称略で。「長生きはするなと聞こゆ二千万」(高野紀子)。物議を醸した老後資金問題だ。

 安心な老後に安定した収入が欠かせないが、年金制度への信頼が揺らぐ。「退職は考えません国のため」(日高裕文)。定年延長でも無理せずがんばって。「アナログに胸なでおろすセブンペイ」(奥屋平)。しかし迫る消費税増税ではキャッシュレス決済が有利。アナログ派の多い高齢者に厳しい。

 「交通事故つい年令を見てしまう」(吉井楼太)。確かに。いつ免許返納するか思案のしどころ。「美しくいよう逢いたい人がいる」(川崎敬女)。若々しい気持ちが続く限りは青春だろう。「何だって後半戦がおもしろい」(尾崎雅子)。人生もそうありたい。

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