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将棋界の未来

2019年9月11日
 山形県天童市の将棋駒製造元で駒作りの現場を見学したのが2年前。地元の知人の計らいでもらった根付け駒が筆者のお守りだ。駒に書かれた文字は王でも玉でも歩でもなく、馬の字の左右が反転した左馬。

 馬が逆に書かれているのでマウ(舞う)となり古来、舞はめでたい席で催されることから縁起のいい駒とされてきた。また、普通馬は人に引かれるが、その逆なら馬が人を引っ張ってくるというわけで「千客万来」の招福駒としてもありがたがられているという。

 宮崎大宮高の清水将馬さんが日本将棋連盟の関西奨励会に、宮大付中の此本蓮士朗さんが関東奨励会に合格した。清水さんは昨年、最年少で宮日王位を獲得。此本さんは8月の文科大臣杯中学校団体戦で3位に輝いた付中チームの一員。どちらも将来を嘱望される逸材だ。

 将棋の駒を手彫りする駒師の、本県在住者では初とみられるプロを目指すのが田中光希さん=宮崎市池内町。将棋道場の席主から駒の材料を譲られたことがきっかけで駒作りを始め、現在は福祉施設でアルバイトをしながら「(駒師を)本業にできるよう腕を上げたい」と研さんの日々を送っている。

 奨励会員と四段以上のプロ棋士とでは待遇面で大変な差があるが対局で使用される駒も奨励会員は彫り駒、プロは盛り上げ駒と違う。田中さんの盛り上げ駒で清水さん、此本さんがタイトル戦を戦う。縁起物の左馬の駒を握りしめながら夢見る棋界の未来だ。

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