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事業承継の在り方

2019年9月7日
 健康なつもりでも、いつかは会社や結社のトップも後継に事業を託す日が訪れる。円滑に事業を承継するには早くから準備をしておいた方がいいが、周囲に余計な臆測を招くこともありタイミングは難しい。

 宮崎市を中心に演奏する津軽三味線グループ「村上三絃道」は、二代目家元の村上由哲(よしのり)さん(57)が役目を長女・由宇月(ゆうづき)さん(27)に無事引き継いだ。由哲さんが家元を30年務めた節目であり、4月に肺がんで余命半年と宣告されたことがバトンを渡すきっかけだった。

 しかし由哲さんにとって家元継承は突然降りかかった難題ではなく、早くから心の中で、また実際の形としても準備を進めてきた命題だった。なぜなら自分自身が初代の突然の死をきっかけに家元を継承することになり、大変な苦労をした体験から危機感があったためだ。

 経緯は自分史「素顔のままに」に詳しい。グループの歴史の重み、責任を持つ立場の重みに押しつぶされそうになり「目の前が真っ暗になりうろたえた」という。しかも中心メンバーが次々と離反。あきらめそうになった時、残ったメンバーらが結束して支えてくれ、運命を背負う決意が固まった。

 由哲さんの体験は、トップの高齢化などで事業の継続に悩む県内の中小企業にも参考になろう。親族や第三者への承継、合併や買収など最善の道はそれぞれ違うが、早めに検討した方がいいのは確か。地域における企業の存在意義を見つめ直す契機にもなる。

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