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難しい最低賃金改定

2019年8月14日
 人生初バイトは高校卒業のちょっと前。夜、友達の家に5人ほどたむろしていると、そこのおやじさんが現れて「おまえたち、明日とあさってはひまか。チラシを折るバイト。1日3千円でどうだ」と言われた。

 成り行きでみんなが承諾し次の日の朝、宮崎駅近くの作業場へ。当時は1日3千円ももらえると思ってうれしかったが、仕事はきつかった。おまけに行く途中に自転車がパンクして修理に3千円。自らの責任だが、1日はただ働きするような悲哀を覚えたものだ。

 宮崎地方最低賃金審議会は本県の最低賃金を28円引き上げ、790円とするよう宮崎労働局に答申した。先に目安を示していた厚労省の審議会が徹夜の議論だったように、賃金の改定はなかなか難しい。大幅アップを求める労働者側と抑えたい経営者側が対立するからだ。

 労働者の懐が温まれば景気が上向いて企業も潤うという考えもあれば、人件費が経営を圧迫しては雇用を守れないという理屈もある。地域の物価水準も考慮すべき要因だ。本県の最低賃金は依然、全国最低水準。若者ら働き手の流出を阻止するために、千円を超す都市部との差を縮めるのが課題だ。

 後でいろいろ仕事を体験すると、あのバイト代は少し安かった気がしないでもない。だが、ごろごろしている生徒らに小遣いをあげようというおやじさんの親切心だった節もある。経済の仕組みを垣間見て、お金を稼ぐ苦労を初めて学べたことに感謝している。

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