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優性って何?

2019年7月18日
 無農薬栽培のブドウによるワインづくりに取り組む綾町の香月ワインズを見学した。まだ収穫まではひと月以上あるが、畑では小粒のブドウの実がしっかりと色づいている。

 勧められて、一つもいで食べてみた。酸っぱさはあるが、凝縮された甘さが伝わってくる。今年は3年目。5月にパリであった試飲会に出品したところ「白ブドウで造ったオレンジワインが珍しがられて好評だった」。代表の香月克公さんが自信を込めて話した。

 雨天が続き、今は病害虫が心配だ。畑には約40品種ものブドウを植えている。「いずれ、どの品種が土地の天候や土壌に合うかが分かると思う。でも醸造する中で意外なものが個性を発揮するかも」と先の長い取り組みを見据えている。

 東京・小石川植物園にある「メンデルのブドウ」を思い出した。彼が実験に用いたブドウから分けた株とか。メンデルと言えば教科書ではエンドウだったが、ブドウの品種改良にも取り組んだそうだ。彼が19世紀半ばに提唱した遺伝の法則は遺伝学の基礎を築いた。

 親の形質のうち、優性の形質のみが子に現れるのが優性の法則。しかし、実際には法則に合わない例が多い。また優性とは優秀という意味ではなく、単に外に現れる力が強いこと。ただ語感から法則自体が誤解される例を時々見かける。

 日本学術会議は高校教科書で、遺伝の法則の「優性・劣性」という表現を「顕性・潜性」と改めるよう提言する。そもそも千差万別の土地や環境への適性は遺伝だけでは分からない。ブドウも工夫次第でうまいワインになるからおもしろい。

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