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戯れ歌

2019年7月12日
 戦前の軍隊には兵科別にさまざま戯(ざ)れ歌があった。以下は工兵のもの。「地学はいつでも十八点 築城土工はもってこい工兵志願の理由はこれだ」。プライドがにじむ歌詞だ。

 作詞、作曲者は不明とのことだが優秀な人物だったことは間違いない。幹部将校を養成する幼年校、中幼(陸士予科、予科士)の学科は20点満点だったそうだから18点はかなりの高得点ということになる(大野敏明著「軍歌と日本人 国民を鼓舞した197曲」)。

 今回の参院選で秋田が特に注目を集めている。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画に地元の反発が強まっているからだ。有事に攻撃の目標となる恐れやレーダーの電磁波による健康被害への不安が地元では根強い。

 加えて秋田市の陸上自衛隊演習場を「適地」とした防衛省の調査にミスが相次いで発覚したことが不安を怒りに変えた。野党統一候補の無所属新人は訴えの柱に据え、保守層に食い込めば勝機が見えると戦略を描く。再選を目指す自民党現職は危機感を募らせる。

 戯れ歌のタイトルは「大分議論が喧(やかま)しい」。冒頭に掲げたのは2番だが1番には「測図演習の講評に忘れもせんが良好なりと 褒められたのは俺ひとり」とあるから教官の指導がよほど厳しかったのだろう。それほど重要な学科だった。

 防衛省の調査ミスは山の標高を誤記するなど基本的なもので、住民説明会で職員が居眠りする失態もあった。地元軽視と秋田の人が怒るのは当然だ。地元の理解を得るためには一から勉強し直すしかない。選挙結果とは関係なく、である。

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