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高齢者向け新免許

2019年6月23日
 「ついに我にもこいつがきたか」。運転免許証の更新時に義務付けられている高齢者講習の案内を受けてからの体験を、作家の椎名誠さんがユーモアたっぷりに書いている。 ほぼ1年前の「週刊新潮」。当時74歳。案内には都内47カ所の教習所の連絡先があったが、どこも混み合っていて2カ月後に遠くの自動車学校に申し込めた。最初に試験用紙が配られたが「運転は楽しいか」など、「ごく当たり前のことばかり」に疑問を持った。 この後運転指導で「ハイヒールのおばあちゃん」らと同乗。荒っぽい運転の人もいたが、視力検査などの後、全員が終了証明書をもらった。椎名さんは講習の必要性を認めつつも、個人差が大きいので「もう少し改善すべき」と訴える。 高齢者運転の暴走事故が後を絶たない。免許更新時に認知機能検査が必要な75歳以上を対象に新たな運転免許が創設される。法令を改正し自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの安全機能を備えた車種のみを運転できる新免許をつくる方向という。 75歳以上の免許返納者は昨年、約29万2千人で過去最高。だが特に本県のような地方では、買い物やちょっとした用事に車は欠かせないという人は多い。運転の時間帯や場所、速度など限定する条件付きの免許も今後の検討課題だろう。 椎名さんが受けたのは認知機能検査以前の講習。1週間後に追突事故を起こしたことを告白し「原因は、わしは高齢者講習を受けたからな、というゴーマンだったと本気で反省している」。自らを客観視する謙虚さが運転の必須条件らしい。

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