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キャッツのニシタチ編

2019年6月20日
 満月が青白く輝く夜が訪れ、都会のゴミ捨て場へ猫がぞくぞくと集まってくる。こよいは年一度の大切な舞踏会。そして再生を許されるたった一匹の猫を選ぶ夜でもあった。

 劇団四季ミュージカル「キャッツ」は誇り高き猫たちの物語。びっくりするのは客席も「ゴミ捨て場」の一部と化していて、観客も猫目線で舞台を見ているという設定だ。記者時代に本県出身の四季俳優を取材するため鑑賞して、凝りに凝った演出に圧倒された。

 ずいぶん昔に見た四季作品のことを思い出したのは宮崎市にある県内最大の歓楽街「ニシタチ」で店主らボランティアによる野良猫と共生する取り組みが一定の成果を上げ始めているという本紙の記事(14日付県央面)を読んだからだ。

 長年、野良猫によるふん尿や生ごみの散乱に悩まされてきたニシタチだったが無料で不妊・去勢手術を行う市の制度がスタートしたことを受けて中央通商店街振興会の会員と上野町のホテル従業員らで猫の管理を担うボランティアグループを結成、活動を始めた。

 猫は手術後、捕獲した場所に放す。トイレを設置したことでふん尿被害も激減した。別の地域からの猫の侵入を防ぐ効果もあることが分った。店主たちの狙いは街で暮らす猫を温かく見守りながらより清潔で、魅力的な街にすることだ。

 キャッツで感動したのはえびの出身の早水小夜子さん演じる娼婦猫が歌いながら天上に昇るシーン。澄んだソプラノが「忘れない、その幸せの日々」と語りかけてきた。ニシタチで紡がれる猫の物語。人も猫も幸せな結末に、きっとなる。

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